RETAIL TECH 2021.08.04

「顧客の声を掘り起こす “画像解析” が店舗やSNSをビッグデータの鉱脈に変える」のウェビナーレポート<前半>

 

7月14日(水)にて、株式会社ニューロープ主催のウェブセミナー「顧客の声を掘り起こす “画像解析” が店舗やSNSをビッグデータの鉱脈に変える – Fashion Frontiers by Newrope #8」に弊社リテールテックチーム責任者の阪本がスピーカーとして参加いたしました。

 

株式会社ニューロープは、ファッション特化の人工知能サービスを幅広く展開し、様々なアパレルブランドから注目を集めている企業です。

 

その株式会社ニューロープと弊社リテールテックチームに共通して言えるのは、“アパレル”“画像解析”という2つのワードを軸にビジネス展開を行っている点です。

 

これからのアパレル企業は、画像解析で発掘した顧客の声をどのようにビジネスに発展させるべきなのか、ウェビナーにてディスカッションいたしました。

 

【スピーカー】

 

酒井 聡 / 株式会社ニューロープ 代表取締役

ファッションに特化したAIをファッションEC、メーカー、メディア、商社等にSaaS提供するスタートアップ、ニューロープの代表。リコメンデーションやパーソナライズ、トレンド分析、需要予測、オペレーション支援など、ドメインにフォーカスしてバーティカルに取り組む。2018年東洋経済誌の「すごいベンチャー100」選出。

九州大学芸術工学部でアートとサイエンスを学んだ後、2009年より㈱マイナビでマーケティング、広告、エディトリアル、オペレーション、営業支援等を担当。2012年より㈱ランチェスターでウェブアプリ・スマホアプリの企画、情報設計、デザイン、開発のディレクション、運用に携わり、2014年に同社設立。

 

阪本 治彦 / 株式会社クレスト 取締役 マーケティング部長 兼 リテールテックチーム責任者

Webデザイン、ディレクション、プランニング、新規事業開発、コンサルティングなどを経て、2018年より株式会社クレストにジョイン。2019年同社取締役に就任。小売店舗の計測等、小売のDXを支援する「リテールテック」事業の責任者、及びマーケティング責任者。テキサス州オースティンで毎年開催される「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」の元エヴァンジェリスト。

 

監視カメラの分析でどのようなことができるか

 

(酒井)早速ですが、監視カメラの分析でどのようなことが可能か聞いてもよろしいでしょうか?

 

(阪本)簡単に言えば、人ができることをさらに拡張できるイメージです。

店舗前の交通量や入店数は、従来であれば手動でカウントするしかありませんでした。

カメラを活用できるようになってからは、24時間365日画像解析の力を使って解析することが可能となりました。

 

コロナ禍以降の店舗の位置づけ

 

(酒井)コロナ禍の影響で「オムニチャネル」というワードが各地で多く飛び交ったイメージでしたが、コロナ禍以降のお客様の店舗の位置づけは変わりましたか?

 

(阪本)確かにコロナ禍で店舗の位置づけは変化しました。

従来通りの売り方ではいけないという考えが広まり、そもそもモノを売らない店舗が増えました。 

クレストでも最近ショールーミングストアの計測ツール導入支援をさせていただきました。

このショールーミングストアというのは、1つの施設に複数のブランド商品が陳列されています。つまり、1ブランドあたりの売り場面積が小さくても運営はできる、ということが言えます。

その代わり、売り場の担当者とブランドの担当者が違ってきますので、現場で何が起こっているのか見える化するために、テクノロジーに頼ってデータ取得する必要があるという考えが広まっています。

また、“顧客の購買体験の進化”はコロナ禍で一気に加速したイメージがあります。その進化に合わせて顧客行動をどうトラッキングしていこうかという課題も上がっているのが事実です。

 

(酒井)3年ほど前のショールーミングストアでは「え、この場で商品が買えないの?」

という評価が多かったんですが、今では変わってきているのでしょうか?

 

(阪本)まだ確実とは言えませんが、以前よりは受け入れられていると判断できます。

コロナ禍が原因で増えた空きテナントを活用し、商業施設独自で運営をするという一連の取り組みで、ショールーミングストア増加の拍車がかかっていると言えます。

 

リテール業界では、具体的にデータをどう活用しているのか

 

(酒井)データをうまく活用できているリテールの事例をお伺いしたいです。

・同一人物の特定

・デモグラ分析(年齢・性別・髪色など)

・動線分析

それぞれどういう使われ方をしているんですか?

 

(阪本)同一人物の特定だと、海外のカーディーラーや高級ブランド等で活用されています。

例えば、お得意様の顔データを保存し、来店したときにすぐにお得意様だと判断できるような仕組み作りをし、接客の向上につなげるという事例があります。

今後は会員情報と紐づけをできるようになり、来店しただけで顧客を判別できるようになるということもできるのではないでしょうか。

最近はマスク着用で年齢性別の判断が難しくなったという問題が発生し、画像解析を諦めたという企業も実際には存在します。

ただ、マスクをしてでもある程度精度をキープしたまま分析できる製品が出てきているので、デモグラデータの事例も今後出てくるのではないかなと思います。

 

(酒井)ニューロープでもSNSのデータを収集し、ユーザーの年齢・性別を推定しているんですが、30代半ばの人が20代で判別されたりと、結構若めな年齢で結果が出ることがあります。

画像の加工など色々要因はあるかもしれないですが…それに関してはどうお考えですか?

 

(阪本)これは私見も含まれますが、実年齢よりも見た目年齢で判別するカメラによるデモグラ分析のほうが十分価値があると思ってます。 

実年齢が50代超えているのに見た目が30代にしか見えない方ってたまにいらっしゃいますよね。そのような方が50代向けのアパレルブランドに興味を示すことってあまり考えられないんじゃないでしょうか。

そういった意味では、実年齢よりも見た目の年齢を重視したほうが、より優秀なマーケデータになると考えてます。

 

(酒井)同一人物の特定で言えば、精度はどのぐらいなんですか?

 

顔の特徴点データによる同一人物の特定は、あまり誤検知を出さずに行うことができます。

ポイントは、何秒カメラの前に立っているかです。

カメラの前を一瞬通り過ぎたというだけでは、顔の特徴点データを正確に捉えることはまだ難しい状態です。

ただ、基本的にはほぼ同一人物として捉えることができるという認識で問題ないです。

 

(酒井)クレスト社にとって、動線分析がメインのプロジェクトになってくるんでしょうか。

 

(阪本)現状、クレストでは「RetailNext(リテールネクスト)」というアメリカの計測サービスを使って動線分析を行うことが多いです。

その動線分析でできることと言えば、入店した顧客行動を一筆書きのようにデータにて表示することです。

これをさらに数値化することによって、入口付近にあるファーストテーブルの誘因効果はどれぐらいあるかなど、店内のレイアウトや商品の行程の分析・解析を行うことができます。

 

(酒井)これってできるところと難しいところがあるんじゃないかと思っているんですが、店舗に来店されるお客様の数が1日数百人だったとしても、統計的に十分な数を揃えるのに時間がかかりそうだなというイメージです。

 

(阪本)クレストの考えからすれば、分析の母数を入店数として、1日計測をすれば入店者100人のうち10人がこの棚の前に立ち止まっていた=滞在率が10%というようにわかるかと思います。

極端な話ですが、1日計測をすればある程度の数値を見ることができます。

あとは、各企業様のポリシーによって計測期間は変わってきます。

しかし、1週間計測して各曜日の動きを知る必要はありますし、季節ごとで顧客の動きも変わってくるので、数年という長いスパンであらゆるデータを取得していくっていうこともありではないかと思います。

 

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