RETAIL TECH 2021.03.12
スマートフォン時代の新評価指標「PAR(購買行動率)」と「BAR(ブランド推奨率)」
前回の記事では、コトラーが提唱した「マーケティング4.0」の概要と、その中からリテール業界が実践すべきことについてお話いたしました。
今回の記事では、マーケティング4.0の重要な概念である「PAR(購買行動率)」と「BAR(ブランド推奨率)」について解説していきます。
スマートフォンが普及して従来のマーケティング手法が通用しなくなった今、新しい考え方をアップデートするために参考にしていただければと思います。
前回の記事:リテールビジネスの変革|次世代マーケティング4.0とは
Contents
「PAR(購買行動率)」と「BAR(ブランド推奨率)」とは
PARとBARという言葉は、「マーケティング4.0」の中で紹介されている、マーケティングの生産性の新しい指標です。
以前の記事で紹介したフレームワーク「(※)5A」と同様、ブランド・店舗状況を可視化する上で必要となってきます。
※5A…新時代のカスタマージャーニーを表したもの。
認知(A1)、訴求(A2)、調査(A3)、購買(A4)、推奨(A5)…と5段階で表現しています。
5Aについてより詳細に知りたい方は、こちらの記事を読んでいただければと思います。
それぞれの言葉の意味について簡単にご紹介いたします。
■PAR(購買行動率)=Purchase Action Ratioの略称で、自社を認知している人々を購買行動に「(※)コンバート」することにどれくらい成功しているかを測定した数値です。
PARの数値は「購買行動をとる人の数/認知している人の数」で表すことができます。
5Aを用いて説明をすると、企業がブランド認知(A1)をブランド購買(A4)へとコンバートするのにどれくらい成功しているかを示すものとなります。
■BAR(ブランド推奨率)=Brand Advocacy Ratioの略称で、自社を認知している人々を忠実な推奨者に「(※)コンバート」することにどれくらい成功しているかを測定した数値です。
BARの数値は「自発的に推奨する人の数/認知している人の数」で表すことができます。
5Aを用いて説明をすると、企業がブランド認知(A1)をブランド推奨(A5)へとコンバートするのにどれくらい成功しているかということになります。
※コンバート…変換させる
PARとBARの数値を上げるためには何をすればいいか
マーケティング4.0と呼ばれるこの時代では、いかにPARとBARの数値を引き上げられるかが重要となってきます。
店舗がこの2つの数値を引き上げるためには何をすべきかご説明いたします。
どこにボトルネックがあるのかを知る
PARとBARの数値が低い場合、どのフェーズに問題があるのかを知る必要があります。
つまり、認知はしているけれど、そこからなぜ顧客は購買・推奨のフェーズに変わらないのかを考えなければいけません。
A5それぞれのフェーズに上がる際に必要な顧客ロイヤルティは以下の通りです。
①A1(認知)からA2(訴求)
→誘因力…ブランドが強い訴求力をもたらすため、他社との差別化要因を持つ。
②A2(訴求)からA3(調査)
→好奇心…顧客に魅力的な情報を発信することによって顧客に好奇心を生み出す。そのためには、コンテンツ・マーケティングのアプローチが必要。
③A3(調査)からA4(行動)
→コミットメント…オンラインとオフラインを統合した経験を提供するオムニチャネル・マーケティングを実行し、顧客とのコミットメントを強化させる。
④A4(行動)からA5(推奨)
→親近感…購買をゴールとするのではなく、アフターサービスを含む購入後経験を高めることや顧客との長期的なエンゲージメントを築くことを重視する。
<A5の各フェーズに進むために必要な顧客ロイヤルティ>
オンラインとオフライン、それぞれの環境をうまく活用していく
例えば、数あるブランドから自社ブランドを購入検討対象に選ぶ人を増やしたいとなった場合、A1からA2へのコンバージョン率を増やすための誘因力が必要となってきます。
つまり、「たまたま広告に触れた」、「店舗前を通ってブランドの存在を知った」から「複数あるブランドのうち、購買する候補としておく」に顧客をコンバートさせなくてはいけません。
そのため、お客様が他のブランドに乗り換えられないうちに、SNSなどで情報を発信してコミュニケーションを続けていき、店舗も実際に商品を手にとりたくなるような内装に仕上げたりなど、各方向で施策をすることが重要となってきます。
まとめ
上記でも述べた通り、“商品を買ってもらえさえすればいい”という時代はもう終わりました。
マーケティング4.0と呼ばれるこの時代は、顧客が顧客を呼び、集客に繋げることがポイントです。
現状の購買者数が少なくても、ブランドを愛し、良い口コミを広げてくれるお客様を増やすことをゴールに据えて、店舗施策を進めていきましょう。

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