CEO 2021.01.01

2021年元旦|年頭のご挨拶【代表取締役社長 永井俊輔】

新年あけましておめでとうございます。

 

クレストホールディングス株式会社とグループ企業全てのお取引先様、投資検討企業様の皆様、株式会社クレストのサイン&ディスプレイ事業及びリテールテック事業でお世話になっているお客様、私達のビジネスを支えてくださっているお取引先様、名刺交換させて頂いた皆様、Facebook等SNSでいつも見ていただいているフォロワーの皆様、家族よりも多くの時間をクレストそしてグループ企業の仲間と過ごしている従業員の皆、そしてそのご家族の皆様。

 

全てのステークホルダーの皆様におかれまして、本年が素晴らしい一年となりますことを心よりお祈り申し上げます。

 

昨年は新型コロナウイルスにより、私共クレスト及び全てのグループ企業も影響を大きく受けました。また、その上での行動変容は大きく、リテールビジネスは大きく変革を迫られていることは言うまでもありません。

 

ビジネスモデルを変革せざるを得なかった企業や、既存のビジネスモデルのままなんとか持ち堪えてコロナの終焉を待つ方針に切り替えた企業など、必ずしも小手先の思考で変化することが正しいとも限らない状況であったと思います。

 

それを踏まえて、これからの時代のリテールの在り方についてまとめました。

 

ニューリテール時代のカギとなるOMO

3年前からOMOという単語が浸透しはじめております。

しかし、実際に売上高EC比率が高まっている企業は増加しつつあるものの、

なかなかデジタルシフト並びに本当の意味でオフラインと統合させていくということが実現できている企業は少ないと思います。


(このポストではOMOに関する知識は備えた上でご一読頂いている前提としております。
OMOについて1年前にクレストホールディングス取締役の望田が以下の記事を投稿しておりますので、
復習を兼ねてご覧ください。:
OMO時代のリアルチャネルの在り方 

 

以下は2016年に開催されたCloud Computing Conferenceでアリババ創業者のジャック・マーが提唱したコンセプト「ニューリテール」の概念です。


出典:ECZINE 「ニューリテール」時代のECを支えるAlibaba Cloudのテクノロジーとは

ここから、ニューリテールへの糸口は、

1, オンラインとオフラインの融合

2, カスタマーエクスペリエンスの向上
3, データドリブンであること

 

の3点であることが挙げられます。

 

アリババの目指す世界観

上記の図より、リアル世界・オンラインでのリテールビジネスのボトルネックはそれぞれ、

 

リアル世界

・店舗そのものや人件費などのコストの多さ

データ不足による需要予測への課題

 

オンライン

実際の商品を手に取って試すことができないこと

・獲得コストの上昇

・エントリーユーザーの獲得のハードル


などが考えられます。

 

アリババの目指す世界観は、
まさに「オンラインとオフラインのボトルネックを補完し合いより優れた顧客体験を提供すること」だと言われています。

 

リテールに関わるパーソンが持つべき考え方

ここまで記載した上で、恐らくリテールビジネスを実施している読者の方々が思われるのは、
「概念は理解しているが現場はそれが実現できる状況ではない」ということであろうと思います。


では何からその一歩を踏み出すべきかという点について考えてみましょう。


と言っても、なにかツールを買ってくれとか、そういったお金のかかるお話ではなく、少し視座を上げて、リテールビジネスに自らが関わる、またはリテールビジネス事業者を顧客に持つ企業のメンバー1人1人が持つべき考え方について言及します。

データドリブンな思考


私自身小売出身者の方々と会話していて課題に思っているのが、データドリブンな思考を持っている方とそうでない方のギャップがあまりにも大きいということです。より現場レベルの方々、または若い方々こそデータの感覚を持ってほしいと思っています。

膨大な購買データから、セット買いされるものはなにかを見極め、それらのセットがより売れるように陳列や接客、ECのレコメンド等に取り込む等も当然やるべきことです。

 

それに加えて、例えば店舗スタッフとしてInstagramのストーリーで「どっちがかわいい?」というアンケートをとり、良い結果であった方を採用する、といったように日常的に客観的な意見を取り入れてゆくことが大切です。

“自分が可愛いと思うもの=お客様がかわいいと思う”、などと自分の主観が正しいと考えてはいけません。(自分自身がまさにプロダクトアウトさせるほどの影響力があるインフルエンサーの場合でも、やはり顧客データに従うほうがより価値が生まれます。)

結果として、そういったユーザーとのコミュニケーションの拡大にも繋がります。ITリテラシーが向上しているユーザーたちは自ら興味あるブランドに対してはより参加型でコミュニケーションをとり、結果的にダイレクトにカスタマーと繋がるきっかけになります。

5年先の予測を常に持つ


5年先の予測をしながら戦略を立てていくという思考を持つ必要があります。
例えば日本のテクノロジーはアメリカと比べて5年ほど遅れているとも言われています。そのアプローチでいうならば、アメリカでは今どういったリテールの顧客体験が生まれているのか調べてみるべきですし、米国で流行っているD2CブランドをECで購買してみるのもよいでしょう。

 

また、今存在するテクノロジーやビジネスモデル1つ1つを「成長していくもの」と「失われていくもの」に仕分けて、成長していくものがどれくらいの市場規模にどれくらいのスピードで成長していくのかを想定しなければなりません。

例えば、弊社クレストとして参入しているリテールテック事業の中におけるリテールアナリティクスという「店舗内カメラ」の領域は順次成長を遂げており、かなり高い確率で世の中のスタンダードに今後なりうる可能性が高いと予測しています。

実際、データを活用して売上を上げるところまでつなぎこむことが出来た顧客の事例も生まれており、成長市場を予測して、そこにしっかり乗っかるということは重要であります。

 

みなさんも先見の明があればYouTubeへの投資をもっと早くからやっていたでしょうし、SNSマーケティングももっと早くからやれていたかもしれません。深く考えて未来を予測することが今まさに求められます。

 

先進的イノベーション事例を学ぶ

これはB2Cに限らず、B2Bからも同じく学ぶべきだと考えています。
リテールで言えば、メルカリで服は売り買いし、エアークローゼットでレンタルし、サマリーポケットに所有している洋服を預け、WEARでコーディネートを参考にし、実際XZで自分の所有しているものの中から何を選ぶか決め、インスタグラムで好きなブランドのインフルエンサーたちと直接コミュニケーションし、C-CHANELでメイクを学び、アソビューで出かける場所を決める。

 

これを日常のサイクルはこうやってあえて新しいサービスを取り込む必要はありますし、それを実現している裏側の技術についても調べるべきです。
また、リテール系のテクノロジーに限らず、ハイプ・サイクルリサーチなどから今後の可能性があるものを検討することも大切です。

 

ハイプサイクルとは…
ガートナー社が提唱している、テクノロジとアプリケーションの成熟度と採用状況、
およびテクノロジとアプリケーションが実際のビジネス課題の解決や新たな機会の開拓にどの程度関連する可能性があるかを図示したもの。

 

以下の図がハイプサイクルの概念図となります。

出典:Gartner リサーチ・メソドロジ ハイプ・サイクル

 

こちらはハイプ・サイクル2020ですが、読者の皆様にとっては多くが知らないテクノロジーであろうかと思います。
毎年発表されるこのハイプ・サイクルの主要テクノロジーは1つずつ調べて自らの知識の1つとして記憶のポケットにしまっておくと良いと思います。

 

ビジネス史、歴史を学ぶ

あらゆる物事に永遠というものは無く、必ず栄枯盛衰してゆきます。日本史も世界史も、そしてビジネス史も同様に変化・消滅が絶えません。

前述の5年先の予測を常に持つという部分においても、5年後に市場が拡大している領域があるということは少なくとも5年後に縮小してゆく市場もあることは間違いなく、言わずもがなこれをいかに予測しながらビジネスを前に進めてゆくかという視点を持つことが重要です。


たった数年でカメラ用フィルムの市場を失った富士フィルム、1960年代にテレビの出現によって市場が縮小した映画産業、1991年をピークに右肩下がりにある百貨店売上、など枚挙にいとまがないですが、こういったビジネス史を学ぶことが類推力の元ネタとして思考の材料に繋がります。

世界倒産図鑑

20社のV字回復でわかる「危機の乗り越え方」図鑑


この2冊などはそういった領域における入門書としてはシンプルに読むことができるおすすめの書籍です。

 

ストアアナリティクス元年はいつなのか

実は私は2014年にマーケティングオートメーションを自社でユーザーとして導入し活用の実績を残し、マーケティングオートメーションの書籍を出版したこともありました。2014年はマーケティングオートメーション元年と呼ばれ、そこからマーケティングオートメーションの資料規模は更に成長してきたと言われています。

出典:(株)矢野経済研究所「DMP/MA市場に関する調査(2020年)」2020年10月26日発表


ここから類推し、弊社クレストにて展開している小売店舗のカメラによる分析市場について考えてみましょう。

矢野経済研究所のデータによると、画像解析店舗分析市場規模は2024年に市場規模100億円に達成することが以下のデータから想定できます。
市場規模100億円を「元年」おくならば、この2024年がストアアナリティクス元年です。

現在はまだまだ店舗の画像分析はベンチャー企業が混沌としており、まだまだ大きくシェアを取っているような企業は存在せず、大きく資金調達した企業でさえキャズムの谷に落ちてしまう可能性があるほど、まだまだ難しい市場と言えます。
しかし、着実に成長をしている市場であり「元年」と言われるまでのここから先3年間が、私達リテールテック事業者にとっても、そして小売事業者にとってもこの一手をどう打つかが変革への一歩となりうると信じています。

出典:(株)矢野経済研究所「店舗向け画像解析ソリューション市場の調査(2019年)」2019年12月2日発表

 

原理原則を学べば負けることはない

昨年はコロナウイルスの影響もあり、本当に混沌とした1年でありました。とくにリアルビジネスに関わる皆様にとっては苦しい一年であったと思います。しかし、歴史から学べば10年に1度はこのような危機は訪れていたはずです。私自身も東日本大震災、それ以前はリーマンショックなどをビジネスマン時代に経験しましたし、私以上の先輩ビジネスマンの皆様は更に多くの外的要因による不可抗力を乗り越えて今に至るのだと思います。

また、今年以降もこれまでも見たこともない何かが起きるかもしれません。しかし、歴史から学び、あらゆる物事の栄枯盛衰の知識を蓄えておくことがその不可抗力に対抗できる最大の武器であります。学び続け、そして更に視座を高めることによって「原理原則」をきちんと押さえることができるようになると、たとえ経営環境この先どのようになろうとも、読者の皆さんの会社や事業は健全な成長を遂げる ことができると私は心から信じてます。

 

皆様とともに、今年もさらなる飛躍を遂げましょう。

 

 

 

2021年 元旦

 

クレストホールディングス株式会社

株式会社クレスト

 

代表取締役社長 永井俊輔

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