RETAIL TECH 2020.09.03
レジ袋有料化で負担が大?店舗の課題と本質的な解決方法とは
今年7月1日より、海洋プラスチックごみ問題と地球温暖化問題に対応するためにプラスチック製レジ袋の原則有料化が始まりました。
スーパーやコンビニなどの店舗でレジ袋が有料化されるとともに、消費者のレジ袋の利用率も変わってきました。
しかし、この制度が始まってから思わぬ事態が発生し、今多くの課題が挙げられています。
今回は、レジ袋有料化でおきた店舗の課題と、解決するための施策についてお話していきます。
前回の記事:店舗運営を支える“人員の最適化”をデータ活用で実践する方法についてご紹介
Contents
レジ袋有料化で店員に負担がかかった理由
レジ袋有料化に伴い起きた問題の1つに、レジで1人のお客様に対応する時間が今までよりも長くなったことが挙げられています。
制度が適用される前は、購入した商品を店員が当たり前のように袋に入れてお渡ししていました。
しかし、制度が始まってからは購入されるお客様に対して店員が「レジ袋が必要かどうか」聞くという工程が発生しました。
また、数種類の袋がある店舗の場合、どの種類の袋を希望するか聞かなければいけないため、その分接客の工数も増えてしまったのも店舗側にとっては懸念点です。
2つ目として挙げられる問題は、エコバックを持参してきた際、お客様自身で商品を入れなければいけないケースもあるということです。
店舗によってはエコバックに店員が商品を入れることもできますが、お客様がレジを通した商品を自ら入れることがあります。
品数が多ければ多いほど入れるのに一苦労し、次のお客様の接客の対応までに時間がかかってしまうことが問題となりました。
上記2点の問題によって、レジの効率が悪くなってしまい、結果的にレジ前が混雑してしまうという課題も出てくるようになりました。
新型コロナウイルスの施設内感染も抑えるためには、出来る限り密になるような状況を避けなければなりません。
今行われている店舗施策の落とし穴
お客様とのやり取りを最小限に抑えるために、様々な対応をしている店舗が見受けられます。
例えば、店員がレジ袋が必要かどうか聞く前に、お客様の方からお伝えしていただくようにお願いをするポスターを掲示したり、指を指すだけでレジ袋が欲しいと伝えられるシートをレジに置いたりと、店舗独自の施策が実施されています。
飛沫シートの設置で相手の声が聞こえづらいという問題も、この施策次第で解決できる可能性も高いです。
しかし、スーパーなどの入店者数が多い店舗では、レジ袋の他に
・マスクの着用・アルコール消毒
・利用時間の分散
・1人又は少人数でのご利用
などについてお願いをする掲示物が入口や店内に貼られているため、逆に情報が伝わりづらくなっています。
店舗の掲示物を全て確認しているお客様は少なく、いくら目立つところに掲示していても見逃してしまうことも多いです。
掲示物を使って呼びかけることはコストも抑えられるため良いのかもしれませんが、ただ貼っただけでは効果は出すことは難しいです。
店舗施策は“顧客目線”が大事
情報量が多すぎてお客様が混乱するのではなく、少しでも多くのお客様に店舗のルールについて知ってもらうための方法についてご紹介します。
お客様が視線を集めやすい位置に掲示物を貼る
店員にとって見やすい位置でも、お客様目線にたつと掲示物が目に入ってこない場合が意外とあります。
レジ袋に関するポスターをレジ付近に貼っている店舗が多いですが、一度会計前に並んでいるお客様の目線を確認していただきたいです。
レジ付近に陳列してある商品を見ている人や、商品を選び終えているのでスマホをいじっている人など、ポスターを確認しているお客様が想像よりも少なかったということも考えられます。
そのため、レジ付近だけではなく、商品が陳列してある棚や買い物かごの中など目に入りやすい場所に貼ってみて、実際にお客様の行動が変わるかテストしてみるのがおすすめです。
見た瞬間内容がわかるデザインにする
先ほども言った通り、最近の店舗は掲示物が多いため、一通り読んでくれるお客様は少ないです。
特に文章が長いとお客様にとって読みづらく感じてしまうため、お客様に「何を」「どうして欲しいか」簡潔に伝える工夫が必要です。
また、文字だけではなく、ポスターの中にエコバックのイラスト・画像を挿入すれば、見た人は直感的に「エコバックに関することが書かれている」と把握してくれるようになります。
まとめ
レジ袋が有料化になってから約2ヵ月がたちましたが、未だに店舗側はレジ袋とエコバックの対応に追われている状態です。
しかし、もう少し時間がたてばお店が設けたルールが消費者の間で浸透する可能性が高いです。
とくにスーパーなどの小売店は、近所に住む方が常連客であるため、通うにつれてお店側のルールに慣れてくれる傾向にあります。
レジ袋の有料化による対応がいち早く浸透して店舗運営がスムーズになるよう、顧客目線の情報発信を心がけるようにしていただきたいです。