RETAIL TECH 2020.07.14
店舗の売上につなげるためのデータ分析とは?具体的な手法をご紹介
「売上アップのために自社商品を見直したいけど、どうやって分析をすればいいの?」と思ったことはないでしょうか。
POSレジを導入している店舗であれば簡単に商品の売上データを見ることができますが、データ活用するとなると難しいと思われるかもしれません。
しかし、正しい流れに沿って分析を行えば、できるだけ短い時間で解決策を導くことが可能です。
様々なデータ形式や分析方法がある中で、店舗の売上アップにつなげるための具体的手法を今回はご紹介いたします。
前回の記事:データ分析しても店舗改善に活かせられない4つの理由
【1】売上に貢献している主力商品をデータ分析で把握
まずやるべきことは、店舗にとっての主力商品と、そうではない商品とで分けることです。
商品を売上が高い順に並べるだけでは分けづらいので、以前の記事「小売店が成長するために必要なデータ分析とは?活用すべき形式4つを紹介」で紹介したABC分析を使います。
青い棒グラフが各商品の売上で、オレンジのグラフが構成比の累積です。
ABC分析は重要項目の洗い出しに使えますので、自社商品の理解を深めるために活用することをおすすめします。
ABC分析がどのようなデータ形式かわからない方は、記事で紹介しているので確認していただければと思います。
具体的には
①商品別データを売上が大きい順に並べる
②各商品の売上構成比(対象商品の売上金額÷全体の売上金額)を出す
③各商品の売上構成比を上から足していき、累積の数字を出す
④累積値に合わせて、各商品をA、B、Cに分ける
という流れで分析をしていきます。
累積売上割合7割までの商品がAランクになりますので、Aランクの商品が店舗の主力商品であるとわかります。
【2】利益を生む商品を把握する方法
主力商品がわかったところで、次は儲けが大きい商品を見分けます。
ここで重要なことは、儲けが大きい=利益率が高い、というわけではないことです。
利益率は<利益金額÷販売価格×100>で出すことができますが、この数値が高くても実際に売れなければ儲けは出ません。
一般的に利益率が高ければ販売価格も高くなるため、大量販売はそう簡単ではありません。
つまり、<売れた個数×利益金額=儲け>であるため、売上に貢献している商品=儲けが大きい商品と捉えるのが正です。
利益をうむ商品を把握するため、【1】で紹介した分析方法と同じように、
①利益が高い順に並べる
②各商品の利益構成比(対象商品の利益金額÷全体の利益金額)を出す
③各商品の利益構成比を上から足していき、累積の数字を出す
④累積値に合わせて、各商品をA、B、Cに分ける
で儲けの大きい商品を見分けます。
【3】売上、利益でランク分けした商品の扱い方
【1】、【2】で紹介した売上、利益が大きい商品の見分け方をもとに、ABCにランク付けした各商品の戦略的な販促方法をご紹介します。
【売上ランク別の対応法】
■Aランク…安くして集客商品にするのもあり
売上に貢献しているAランクの商品は、多くのお客様に購入されている商品と言えます。
効率的に店舗の売上アップにつなげるためには、このAランクの商品を積極的に販売していくことをおすすめします。
具体的には、
・人通りが多い棚・テーブルなどに商品を置いて、より購買率が高まるようにする
・価格を少し安くすることで、より多くのお客様に買ってもらえるようにする
・店舗の目玉商品として大々的にアピールし、新規顧客を獲得できるようにする
などの販促活動をすれば、売上を高められるかもしれません。
■Bランク…価格を少し下げるor上げてみる
Bランクの商品は工夫次第でAランクに上げられる可能性がある商品です。
全く売れていないわけではないので、価格を少し下げてみれば購入率が高まる可能性があります。
Aランク商品のラインナップが少ないと感じたときに、使える対策として考えてみてはいかがでしょうか。
■Cランク…カット候補に入れる
Cランクの商品は、売上・利益どちらも少ない可能性が高いです。
そのため、品揃えとしての重要度を考えた上で、販売商品から外すことを考えたほうがいいかもしれません。
【利益ランク別の対応法】
■Aランク…お客様に積極的に提案する
利益が大きいAランクの商品は、お客様に積極的に提案したほうがいい商品です。
人気商品、目玉商品として常に店内に置くことで、持続的に利益を得やすくします。
Aランクの商品は利益が大きい分、在庫が切れて機会損失が生まれないように注意して仕入れることが重要です。
■Bランク…価格を変えて儲けが大きくなるかテストしてみる
Bランクの商品は、今より利益を少しでも伸ばせるよう、価格を少し変えてみてもいいかもしれません。
お客様にとってやや値段が高いことがネックだった場合、価格を少し下げてみることで以前よりも購買率が上がる可能性があります。
逆に、購買率は低くはないけど利益がそこまで高くないという場合、価格を少し上げてみて儲けが大きくなるか試してみるのも手です。
■Cランク…カット候補にするか、価格を上げて少しでも利益を出す
利益が少ないCランクの商品は、単純に儲けが悪いのではなく売れる量が少ない商品である可能性が高いです。
Cランクの商品は無理に店頭に売り出すのではなく、カット候補として考えるか、少しでも利益につながるように価格を上げてみるのがおすすめです。
また、A・Bランク商品とセットで売る手法(バンドリング)で、儲けが変わるか試してみるのもいいかもしれません。
【4】まとめ
店舗施策をするためには、大前提としてそれなりのデータ分析をする必要があります。
「売上が悪い」要因を探るためには、まずは店舗の何が悪いのかデータとして洗い出し、施策を1つずつ行えば、何が要因だったのか明確に探すことができます。
もちろん事前に分析をせずに店舗施策を行って成功する場合もありますが、次に課題が出てきたときに同じように成功できるとは限りません。
本社・現場で一致団結で動くのに必要なのは、“根拠となる数字”です。
憶測で動いていまひとつな結果になるよりは、誰もが理解できるデータを使ってトライ&エラーを実行してみることをおすすめします。
データ分析について興味がある方は、以下の記事もおすすめです。
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