RETAIL TECH 2020.03.09
消費者が“本当に”求めている顔認証技術とは
ひと昔前までは一般人にとっては遠い存在だったAIが、今では消費者にとってもなじみ深いものとして広まっています。
すごいスピードで世の中に浸透しているAIですが、中でも様々な場面で活用されているのが『生体認証(バイオメトリクス認証)』です。
生体認証は、1人1人が持っている行動や体の特徴から個人を判別する技術のことを指します。
中でも顔認証は、顔の目、鼻、口などの特徴点、顔領域の大きさなどを捉えて個人を特定できる画期的なシステムです。
この顔認証に対する消費者の正直な意見と、これからの技術の発展についてお話していきます。
ぜひ企業で顔認証技術を導入しようとしている方にはこの記事を参考にしていただきたいです。
前回の記事:店舗に顔認証技術のカメラを使うのはアリ?消費者の本音とカメラの必要性について解説してみた
消費者が顔認証技術に求めているもの2つ
最近弊社では、「今後活用したい顔認証サービスは何か」を消費者に対してアンケートをとりました。
1位は「セキュリティツール」2位「無人コンビニ、無人スーパー」3位「決済」という結果になり、消費者は『セキュリティの強化』と『利便性』を技術で求めているということがわかりました。
この求めている2つについてさらに深掘してみます。
(1)セキュリティ面での強化
例えば、何かのサイトにログインをする際に今まではIDやパスワードの入力が必要となっていました。
ただ、ログインIDやパスワードが他者に流出し、不正アクセスされる問題が相次ぎました。
そこに顔認証技術を使った手法でログインが行われることにより、他者に不正アクセスされる問題が減少してきました。
最近では顔認証で入退室できるデバイスを導入している会社も増えてきています。
パスワードの失念、ICカードの紛失・盗難などのリスクを回避することができます。
(2)生活の利便性につながる
先ほども述べたIDやパスワードは、不正アクセスだけではなくいちいち手入力をしなくてはいけないというデメリットもありました。
さらに、セキュリティ強化のために2段階認証や8文字以上の英数文字のパスワードの登録を強制するなど、ログインする際の手間がとてもかかっていました。
ログインする際に5~10秒ほど時間がかかる中、顔認証でロックが解除される『Face ID』が搭載されたiPhoneⅩが発売され、そこから消費者に顔認証技術が浸透していきました。
自分の顔が鍵やID・パスワード代わりになり、ログインする際の時間も平均1秒で済むように。
指紋認証よりも精度が100倍近くになり、消費者はよりストレスフリーにログインできるようになりました。
抵抗がある反面、うまく活用したいという声も?
前回の記事では、顔や動向を撮影されるのに不安を感じる人が全体の7割もいるという内容をお伝えしました。
iPhoneなど消費者自身が使うデバイスの顔認証は受け入れられているものの、店舗や企業による情報収集のために写されるのは嫌と感じる人が一定数存在しています。
しかし、全体の約4割の方が、顔認証技術による情報を商品購入のきっかけや参考にしたいと思っていることも調査でわかりました。
消費者自身の「年齢」「性別」「購買履歴」などから、おすすめの商品を知ることができれば便利だと考える人もいることがうかがえます。
とくに日本は、第三者からの情報や口コミを購買の決め手にする方が多いので、小売店で顔認証技術をうまく活用する価値は十分にあると考えられます。
顔認証技術の導入は、消費者と企業の両者にとってメリットがある
セキュリティ面と認証の時間短縮という2つのことから、消費者と企業両方にメリットがあるサービスもあります。
最近では、消費者金融が顔認証システムを自動契約機に導入したという事例も出ています。
なぜ消費者金融が顔認証を導入したのかというと、他人になりすましてカードローン、キャッシング、融資を受けるといった不正行為の防止が目的です。
自動契約機で申込者の顔をカメラで読み取り、本人確認書類の顔写真と照合し、本人かどうか識別することができるようにしました。
もし本人確認書類とカメラに写った本人が違えば、なりすましをしていると一瞬でバレる仕組みとなっています。
消費者が安心して利用でき、尚且つ不正行為も防止できるようにうまく対策していることがわかります。
まとめ
「顔認証技術は安全ではない」という声もありますが、今では金融などの高額な金銭のやり取りをする場面で導入されるようになってきました。
それだけではなく、消費者が平等にサービスを楽しめるように、チケットの転売防止にも顔認証が活用されています。
顔認証技術が発展している中国に比べて、日本では顔認証技術がまだ浸透しきっているとは言えません。
しかし、「顔認証技術=安全」ということが認められれば、さらに多くの場所で導入されるでしょう。
弊社では『Xovis(ゾービス)』というリアル店舗トラッキングシステムを提供しております。