LMI Group NEWS 2020.02.06

【サイン&ディスプレイ×リテールテック対談】レガシーな産業で起こす『ブレンド戦略』が行き着く先とは

「レガシーな市場にイノベーションを起こす」をビジョンに掲げるクレストホールディングス株式会社では、2020年初めに自社の存在を“ブレンダー”と発表。

各子会社・事業部では『ブレンド戦略』を実現し、全ての人々、産業、地球に対して「本質的に最適な価値を提供すること」を志しています。

今回、株式会社クレストのサイン&ディスプレイ事業部(以下SD)とリテールテック事業部(以下RT)による貴重な対談が行われました。

 

 

<プロフィール>

(左から順に紹介) 

株式会社クレスト 取締役 リテールテック事業部長 

阪本 治彦

2018年クレスト入社。2019年3月よりリテールテック事業部長に。クレスト入社以前は、旅行添乗員、飲食店店長から、Webディレクター、Webプランナー、マーケティング全般(オンライン・オフライン)、さらには人事コンサルティング、資金調達まで多彩な経歴を持つ。幅広い知見を元に、新規事業開発を手がける。

 

株式会社クレスト 取締役 サイン&ディスプレイ事業部長 

阿部 一久

2002年よりクレストにデザイナーとして参画し、現在クレストとしては最も社歴が長い。得意なビジネス領域はクリエイティブな二次元デザインと、交通広告関連のプロジェクト・マネジメント。クレストに人生を掛けて業界を変革するために奮闘中。

 

クレストホールディングス株式会社 取締役COO&CSO 

望田 竜太

早稲田大学卒業後、リサ・パートナーズにてPEファンド部門に所属。投資実行・投資先管理業務に携わる。その後、PwCコンサルティングの戦略チームに転じ、BDD、PMI、業務改革、新規事業創出、DX等、様々なテーマを経験し、2020年より取締役COO&CSOとしてクレストホールディングスに参画。

 

株式会社クレスト  サイン&ディスプレイ事業部 フィールドセールス3課 マネージャー

 奈良 道宣

2016年クレスト入社。革製品を扱うショップの店長から、アパレル関連のビジュアル制作を志しクレストへ。マネージャーとして店舗でのLEDビジョンの導入を強力に支援。

 

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クレストが掲げる“ブレンド”とは

 

(奈良)年始に永井社長から「我々は“ブレンダー”だ」と発表がありましたが、SDとRTが各々どうブレンドして未来を作っていくのか、色々お伺いできればと思います。

ブレンド戦略がそもそもどういったものかについて望田さんから伺ってもよろしいですか?

(望田) クレストでは『レガシーマーケットイノベーション』をずっと謳っていましたが、よく社外の方から「クレストって一言で表すと何をやっている会社なの?」って質問があり、それにうまく答えられないという悩みが発端でした

そこから、現在あるレガシーな企業をかけ合わせてイノベーションを生み出していくことが我々の1つのやり方であり、それを体現している人や仕事って他にないの?となったときに、ウイスキーのブレンダーだ、となったのです。

ウイスキーのブレンダーは数ある原酒をかけ合わせて且つ一定の品質を保ちながらお酒を作り上げる。

しかも一回作って終わりではなくて永続的に保存させる役割がある。

これをそのまま僕らのやっていることに言い換えられると思いました。

現在あるレガシーな会社の文化を大事にしながらも、その眠っているレガシーなアセットをかけ合わせて創造し、イノベーションを起こしていく。

こういう企業にしていきたいなとなり、そこから「ブレンダー」と定義し、まずは各事業の複合的なサービス提供を目指すことを「ブランド戦略」とすることに決めました。

 

(奈良)ブレンド戦略の考え方が大きな指針になっていくと思いますが、ここで事業部長の阿部さんと阪本さんお二人にとってブレンド戦略とは何かお伺いしたいです。

 

(阿部)SDって分散型ビジネス且つTheレガシーで、クライアントも看板屋ってこうだよね、っていう常識が強く根付いているのが特徴的なのです。

その中でも我々は儲け続ける必要があるので、顧客に対して新たに提供できる価値っていうのを模索していかなければなりません。

他社と違うことをしなくてはいけない、っていうのがブレンド戦略の行きつくところなのかなって考えます。

そこでRTとブレンドして何か開発して、他社が追従できない状態になるまでがブレンド戦略にできるベストの状態かなって思います。

(阪本)そもそも課題が見えていないことが課題だったりするんですよ。

「課題がわからないからクレストの商品はいらない」っていうフェーズだったんですよ、うちの会社って。

今では『課題の抽出』が僕たちの課題になっています。

僕たちが提供しているリテールアナリティクス製品は、課題解決のツールなのかっていうとまた別だと思います。

ブレンド戦略に話を戻すと、クレストならではのリテールテックを突き詰めていくのがブレンド戦略になっていくのかな。

リテールテック事業部単体ですごくいいプロダクトを売っていくのは、別にクレストじゃなくてもできることじゃないですか。

会社のミッションである「本質的に最適な価値を提供」ってなにかってなると、カメラの販売ではなく、小売店に対して最適なデータの提供だと考えています。

 

ブレンドの可能性は無限大

 

(望田)そういえば、前職のときに大手の企業と仕事することが多かったのですが、1つのプロダクトだけだと、スタートアップ企業に任せたほうが早いし、そっちの方を採用されることが多かったです。

そのときに大手に求められるのが“複雑性”でしたね。

様々な事業をやっていて歴史があるのだから、他ではできないサービスを提供してよって、ことを求められていました。

今でも「クレストさんしかできないことをやってよ」ってよく言われます。

 

(阿部)過去にスタンド看板にカメラをつけてトラフィックや視認量もとれるのはクレストらしいよねってなったことがありました。

市場に投入しようか迷った時もありましたけど、やはりお客様の知識がそこまで追いついていなくて断念しました

(阪本)クレストホールディングス全体の話でいえば、インナチュラルっていう店舗を持っているのが相当な強みなんですよね。

とあるお客様に「せっかく小売店やってるんだから、そこで活かしたノウハウをちゃんと提供してよ」って言われたり。

小売店をやっていればやっているほどそういうことを言われます。

 

(望田)“知見(ノウハウ)”の事業間展開も、クライアントに価値が提供できるのであれば十分にブレンドですよね。

 

(阪本)人材のブレンドもありえますね。

RTからSD、逆にSDからRTに人が移動したり。

人材交流ができると、ブレンド感はすごく出ますよね。

 

(奈良)実際にSDとRTでブレンドして動いている仕事はありますか?

 

(阿部)内装の工事からVMD、内装什器、そして効果測定でesasyの導入まで一気通貫でやらせていただいた企業さんはあります。

これは他社には真似できないですよね。

 

(奈良)ブレンド戦略って、私たちとお客様にとってwin-winですよね。

データやデザインについての方向性も、うちの会社はナレッジがたまっているからお客様に全て還元できますよね。

 

(阪本)あとはLUSHさんもそうでしたね。

サイネージつけたあとにサイネージの効果見たい!ってなってesasy導入しましたし。

クレストでしかできないこと=ブレンドかって言ったらそれは違うかもしれないですけれども。

 

お客様に求められる価値提供を

 

(奈良)SDとRTでよりブレンドが深まってきていると思うんですが、現状で取り組みをしている中で見えている課題とかありますか?

 

(阪本)Biz Dev(事業開発)の部門がないことですかね。

ブレンドとなると自分の店舗をいかに魅力的にするかっていう話なんで、新たなビジネスを創出する人が必要だと思うんですよ。

それができる人が現状少ない。

看板の中にカメラ埋め込みましょう、って提案できる人がSDの中で阿部さんしかいないのは問題ですね。

ブレンド戦略であれば、ちゃんと“戦略”として考えられる人がいなければならないですよね。

 

(望田)戦略作りを専門的に考えられる人がいればいいですね。

 

(阪本)役員関係なく、会社全体がブレンドについてしっかり考えられる頭づくりをしなければなりません。

ただ上から言われた事に対して「はい、売ってきましたー」で終わるだけなら誰でもできますし。

 

(望田)確かに意識の問題ってあるかなって思います。

やろうと思えば1日15分でもブレンドについて考えて、毎日繰り返せば何か生み出せるかもしれない。

 

(阪本)クレストって売ってはいけないものなんて基本ないんですよね。

ないはずなのに、俺らは販促物しかやらないっていうんだったらそれは間違いかな。

 

(望田)実際にマネージャーとして現場をリードしている奈良さんは、ブレンド戦略をどう捉えているか知りたいです。

 

(奈良)ブレンド戦略ってすごい大好きなんですよ。

お客様が欲しいものとか、僕が押すことでお客様の方向性が少しでもかわると思うんです。

多事業部の製品も紹介してほしいんだよねっていう話ももらっています。

個人としては何かのスペシャリストになりうる方向性だと思っていますし、僕個人としても今実践している状況です。

 

(望田)僕ら会社の役員がいくらブレンドについて語っていても、他のメンバーは「まあ自分には関係ないよね」で終わってしまうんですよね。

奈良さんみたいに現場のリーダーがやっていたら、他の人も「俺もやりたいな」ってなって相乗効果が生まれてくると思います。

 

(阿部)優秀な個はお客様に好かれますよね。

会社にそういう人間しかいなかったらこれってすでにブレンドになっていると思います。

 

(望田)今経営陣で話しているんですけど、『ブレンドポイント表彰』をしようかってなっています。

発案をいっぱいしてくれるだけじゃなくて、プランニングも営業メンバー全体ができるようになってくれればなと思って。

サポートはできる限りこちらでするので、計画の作り方までできる人間を増やしたいですね。

 

(奈良)ブレンドについての考え方とかプロセスの作り方を学べる勉強会があったら皆さん積極的に参加してくれそうですよね。

僕個人としてもさらに頑張っていこうかなって思っています。

 

クレストの社員1人1人がブレンドを体現していくのが目標

 

(奈良)ブレンドを推進するうえで必要なことってなんなんでしょうか。

 

(望田)1つめは、現場にたっているメンバーが自社のことをもっと知ること。

2つめは、何かお客様に聞かれたときに、その人に最適な提供価値が自社内にないかを常に考えること。

3つめが、さらにそこから高い価値を提供できるようにする方法はないか発案すること。

そのためのサポート設計とか、わからないことへの相談はいくらでも乗るので。

やめてほしいのは「これやってみたらどうですか」って他人事で案だけ出しっぱなしにすることです。

「誰でも好きに発案していいよ」ってなるとバンバン声がでて、結局それを真面目に処理しなくてはならない人の重荷になって結果、立ち消えになることはよくありますね。

そうならないように僕も設計の部分は少し考えたいです。

自分でやれるビジネスの範囲で考えてもらうほうがいいかもしれない。

 

(奈良)ラフなところから浸透していくのがいいですよね。

ブレンド戦略をあまり大それたことと考えても「僕関係ない」ってなっちゃいますし。

 

(奈良)ほかのグループの中でやっていきたいと思う会社とかありますか?

 

(阿部)ぼくはドラミートウキョウかな。

SDと商材がかぶらないし、ブレンドする価値はありそうですね。

傘下じゃないところで組んだら面白そうなところはいっぱいありますけどね。

例えば電気屋さんとか親和性しかないと思います。

 

(阪本)僕も個人的にRT×電気屋さんでブレンドしてみたいです。

でも、インナチュラルともっとブレンドしたい、というよりしなければいけないっていう使命感もあります。

 


 

(奈良)今回はクレストのブレンド戦略についての話でしたけど、クレストのミッションである『本質的な価値を提供する』ことにおいてブレンドすることは必須なんだなと思いました。

今後クレストの中でブレンド戦略が深く浸透していって、表彰される人がでてきたりとか、個人個人が立ち上げて企画してそこから戦略らしさとかどんどん膨らんでいく未来がみえました。

僕も皆さんに色々お伺いしながら方向性を確かめ、お客様に発信していけたらと思っています。

 

 

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