RETAIL TECH 2020.01.10

今さら聞けない「市場調査」とは?実践すべき調査方法6つを紹介

店舗経営や会社内でマーケティングに携わっている方であれば、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

市場調査はマーケティング活動において必要不可欠ですし、調査の統計をレポートなどで残しておけば今後のマーケティング施策にも活用することができます。

この記事では、市場調査の手法と注意点についてまとめております。

 

前回の記事:『入店率』をあげる。『売上』をあげる。

 

そもそも市場調査とは

 

市場調査とは、簡単にまとめると「同じ業界や顧客の動向、要望などを調べること」を指します。

 

企業や店舗が市場調査を実施する目的はさまざまですが、以下のような例が挙げられます。

【企業や店舗が市場調査を行う目的の例】
・商品の価格帯が適切かどうかの確認
・商品が見込み客の需要(ニーズ)に合っているかどうかの確認
・どうマーケティング施策を打てば商品がヒットするかの想定

 

あらかじめ市場調査をするかしないかによって、お客様が店舗に足を運び、商品を手にとり、購入するまでたどり着けるかどうかに大きく関わってきます。

 

そのため、市場調査をしていない、もしくは的外れな調査をすれば、店舗が掲げている売り上げ目標の数値から遠のいてしまう可能性が高いです。

 

費用や時間を無駄にしないためにも、正しい市場調査の方法をいま一度確かめる必要があります。

実践するべき6つの手法

市場調査は「定量調査」「定性調査」と大きく2つに分けられます。

【定量調査】

定量調査とは、結果が数字として表せる調査方法を指します。グラフやパーセンテージ(%)で表すことができるので、その数字から調査対象の全体的な評価を把握することができます。以下3つの種類が定量調査に分類されます。

・アンケート調査

調査対象者にアンケート用紙、インターネット上であればフォームから回答してもらう方法を指します。アンケート用紙で回答してもらう際は、訪問・電話・FAX・街頭・郵送などの方法で実施することができます。

どの方法で実施すべきか考える際は、調査対象者が集まりそうなエリアを狙って探らなければいけません。

インターネット上のアンケートは、より大きな母数からデータを取りたい場合には向いていますが、調査対象者がインターネットをあまり使わない層だとデータ獲得は難しいです。

調査に使える時間や費用・調査対象者が集まりやすい場所、この2つを意識して調査する必要があります。

・ホームユーステスト(HUT)

調査対象者に、自宅で商品を使って評価してもらう調査方法を言います。

商品を実際に使ってもらうことによって、より質の高い調査回答を得ることができるのがメリットです。

・会場調査

前もって会場を準備し、そこに調査対象者を集め、商品を使ってもらった後にアンケートの回答をしてもらう調査方法です。

調査の場所を押さえる必要があるので、時間やコストはある程度かかってしまいますが、アンケートを確実に回収することができます。

【定性調査】

対して定性調査は、数字として表せないものを調査する方法のことを言います。

定性調査をする目的に、定量調査で得られた“数字の裏を読み取る”というものがあります。「なぜその回答をしたのか」を調査対象者に深堀することで、データの数字+考察を得ることができます。

そのため、定量調査と定性調査は両方セットで実施することをおすすめします。

・インタビュー調査

名前の通り、調査対象者に直接インタビューする方法です。

複数人のグループに対して調査する「グループインタビュー」と、1対1で深くヒアリングしていく「インデプスインタビュー」の2つにも分けられます。

また、複数人の対象者同士が対話する機会を設け、それを観察するMROC(エムロック)という調査も存在します。

より短時間で多くの調査対象者にインタビューをするのであればグループインタビュー、お客様の動向をより密に知りたいのであればインデプスインタビューを選択するのが適切です。

・ショップアロング調査

調査対象者が買い物をしているところを観察し、買い物をした後に本人に直接インタビューする方法を言います。

一般客の購買行動を観察し、その行動の裏にある心理を深く追求できるので、データよりリアルな調査をすることができます。

・ミステリーショッパー

別名「覆面調査」とも言い、調査員が一般人に紛れて店舗に潜入する調査方法です。

購買行動をしながら、周りの一般人の動向やお店のVMD、接客についてダイレクトに確かめることができます。

覆面調査専門の会社もあるので、業者に依頼するという選択肢も有りです。

市場調査とマーケティングリサーチは違う

「市場調査の英語版はマーケティングリサーチ」と思われる方が多いですが、厳密にいうとこの2つのワードは違います。

市場調査は、過去のデータをもとにするのに対し、マーケティングリサーチは未来のデータを予測する、と意味づけられています。

 

さらに深く説明すると、市場調査から得られたデータは新商品の開発や価格設定などに役立てられますが、マーケティングリサーチは既存の商品をさらに売り上げるにはどうすればいいか分析するために用いられるものです。

 

どちらもマーケティング視点でみれば同じ種類の施策ですが、もとになるデータやベクトルは違うものと考えられます。

 

以上のことから、市場調査=マーケティングリサーチではないことがわかります。市場調査=マーケットリサーチが意味的に正しいです。

実践をする上での注意点

最初から調査を始めようとしても、「どのような調査方法がいいのか」「調査対象者の条件はどうしようか」など、必要な要素がわからず、次のプロセスに進めなくなります。

 

そのため、市場調査をする際に気を付けるべきことをお知らせいたします。

1.調査目的は明確にする

目的が漠然のまま調査に踏み込もうとすると、「調査をする対象者」や「調査項目」が曖昧になり、マーケティング施策につながりにくくなります。

 

例えば、『自社の新商品の売り上げ見込みを把握したい』という目的を設定すれば、
・新商品と類似したものを販売している店舗の調査
・想定しているターゲット層の購買行動の調査
など、的確な調査方法が見えてきます。

2.サンプルは多すぎず少なすぎずに

サンプルが少なすぎると分析結果に偏りが出てきてしまいますが、逆に多すぎてもデータをまとめるのに時間がかかってしまいます。

 

“市場”なので大規模な調査が必要というわけではなく、最適な量をもとにマーケティング施策を考えるのが正しい方法です。

 

もちろん調査目的や調査の種類によって量は変わってきますが、500~1000サンプルほどあれば、マーケティング施策を打つために十分なデータが集計できます。

3.調査対象者に対する質問の仕方は統一する

質問の内容は一緒でも、少しでも質問のニュアンスを変えてしまうことによって、分析にばらつきが出てしまう可能性が高いです。

 

また、相手が答えを変えてしまうような「誘導尋問」も、本質的な回答を得ることができなくなってしまいます。

 

質の高いサンプルを集めるためには、調査対象者が本音で回答しやすい質問をする必要があります。

まとめ

この記事の要点を一覧にしますと、

・市場調査は、「同じ業界や顧客の動向、要望などを調べる」ことで、マーケティング活動においては不可欠。
・市場調査には定量調査、定性調査の2つがあり、質の高いデータを得るためにはどちらも実行する必要がある。
・市場調査=マーケティングリサーチではなく、市場調査=マーケットリサーチが正しい。
・調査を実行する上では、1.調査目的の明確化、2.サンプルの量、3.質問内容の統一、これら3つを意識する必要がある。

以上にまとめられます。

 

市場調査は常日頃からするものではありませんが、見込み客の購買行動の実態や、競合の企業・店舗の現状の把握を押さえるだけで、マーケティング視点で店舗の課題点を分析することができます。

 

記事を読んでみて市場調査を実践したい方は、まずは店舗の状況把握・分析からスタートしてみてはいかがでしょうか。

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