LMI Group NEWS 2019.08.26

【後編】いまLEDビジョンを導入する理由~LEDビジョンはデジタル配信をはじめる最後のチャンス~

近年、小売業界の店舗ではデジタルサイネージの導入が進み、店舗でデジタルコンテンツを配信し、いかに売上につなげるかが大きな課題となっています。そこに訪れているLEDビジョン導入の波。アパレル業界はじめ小売店舗は、この潮流をどう捉えればよいのでしょうか。伸るか反るか。クラブから店舗までLEDビジョンによる空間演出を多数手がけてきたDGX-japan代表の柏木大氏、クレスト代表の永井、サイン&ディスプレイ事業部の奈良が、LEDビジョンとの向き合い方を解説します。

(構成・写真 / 渡邉 奈月 (ICPコンサルティング))

 

DGX-japan代表 柏木  大(写真 中央)

ITベンチャー企業に勤め、デジタルマーケティングを経験し、独立し開業。現在は、デジタルディスプレイのDGX Japanの日本法人代表等も務め、デジタルマーケティングで3億円以上の売上をあげる等、実践的な手法に精通。

 

株式会社クレスト 代表取締役社長 永井 俊輔(写真 左)

株式会社ジャフコでM&Aやバイアウトに携わった後、父親が経営する株式会社クレスト入社。CRM(顧客関係管理)やマーケティングオートメーションを活用して4年間で売上を2倍に拡大させサイン&ディスプレイ業界最大手に。2016年より代表取締役社長に就任。

 

株式会社クレスト Sign & Display Division Field Sales 3  Manager 奈良 道宣(写真 右)

2016年6月クレスト入社。2019年現在、チームマネージャーとして店舗でのLEDビジョンの導入を強力に支援。

 

関連記事:【前編】いまLEDビジョンを導入する理由〜高単価で売れる理由はアートだから。ブランド価値をデジタルで表現する時代へのシフトが始まった〜

 

テクノロジーは止まらない。LEDビジョンは波に乗るきっかけになる

奈良:(前回の記事で)アートとテクノロジーの融合というお話がありました。LEDビジョンは、より深いコミュニケーションに踏み込んでいくプラットフォームになる可能性があるということですよね。

 

柏木:さらにLEDビジョンの面白いところは、ボタンひとつで世界観を変えることができるところです。壁一面LEDビジョンなら「今から海の中に行きましょう!」と思い立ったら、ボタン一つで周りが海の中になる。ボタン一つで森林の中にもなる。店舗の雰囲気を瞬時に変えれるというのは、デジタル化の恩恵だと思います。アートとしての表現力が高いだけでなく、変化の早くなった時代に対応できるのがLEDビジョン、という気がします。

 

永井:なるほど、ここまでくるとVRはいらないかもしれませんね。3年前ぐらいにニューヨークのタイムズスクエアに行ったのですが、ビルの壁一面、LEDビジョンなんです。そこに企業のロゴが映っている。すると、看板屋さんは要らないんですね(笑)。そういう世界観に近づいているというのは、あるべき姿に向かっているということでしょうね。店舗での顧客とのコミュニケーションツールとしては、LEDビジョンから始まり、あらゆる技術が次々に出てきています。小売事業会社は、LEDビジョンをもっと取り入れるべきでしょうか?それとも、先の技術に着手するべきでしょうか? 

柏木:まず、避けて通れないのが、リアルとデジタルの融合という潮流です。例えば、アメリカのトイザらスの事例ですが、店舗で商品がお客様に視認された数を計測して、メーカーさんに請求する広告モデルがあります。日本でも今後、同様に、リアルと、デジタル映像を組み合わせたようなビジネスモデルが出てくるんじゃないかと思います。

 

奈良:その意味で、私はLEDビジョンを導入すべきと思います。販促やマーケティングで、リアルとデジタルが融合していくには段階があり、まずLEDビジョンから始まり、そのLEDビジョンと新しいテクノロジーが融合するという順序です。ならば、まずLEDビジョンを導入した上で、これから登場する新しいテクノロジーを受け入れる。将来、LEDビジョンは廃れるかもしれませんが、製品ライフサイクルの中でツールが移り変わることは世の常です。リアルとデジタルの融合、その最初のとっかかりとして、LEDビジョンは入れたほうがいいと思います。

 

永井 私も近い意見を持っています。例えば、今、一店舗で頑張っているトンカツ屋があるとします。もっと店舗を成長させたいと考えた時に、これから5年先、どう変わっていくかというと、デジタルサイネージのその先にある何か…例えば、落合陽一氏が開発しているような、空間の中に人間をうかびあがらせるとか、色々な手法が出てるじゃないですか。LEDビジョンぐらい触っておかないと、たぶん突然、もっと高度なものが出てきます。

 

柏木:ホログラムであったりとか。空間転送とか。

 

永井:ここで乗り遅れると、その技術にもうついていけなくなる。今、LEDビジョンは最後のチャンスだと思うんです。この先もっとやばいの来るから、今、やらないとダメだといいのが、私の考えですね。昨日までポスターを印刷してたらのなら、その画像データをチップに入れて、LEDビジョンに差し込めば始められるのですから。

 

柏木:おっしゃる通り、導入は手軽になりつつあります。今、開発を手がけているLEDビジョンは、厚みが大体100ミリなんですよ。どんどん薄く、軽くなっています。言うなれば、ポスターっぽくなりつつあるんです。今後さらに、運用が簡単になったり、壁にかけられるなど取り付けも簡単になるだろうなと思っています。

 

永井:なんなら、貼って終わり、という世界ですね。

 

柏木:実際に、中国では小型化、薄型化している製品が実用化されて、流行り始めているんです。しかし、いざ導入となると、LEDビジョン然り、サイネージ然り、「どんなコンテンツを出したらいいの?」そこで立ち止まってしまう小売事業者さんがとてもが多いんです。

 

一同:うんうん。

 

永井:ポスターは頭の中に書いたイメージを、llustratorで誰かがデータ化すれば…なんなら、PowerPointで作ればよかった。一方、LEDビジョンになると、PowerPointで作ったものだと、なんとなく、もったいない無い気がするとおっしゃるんです。小売業事業者さんは、あと一歩が踏み出せないんですね。技術の変革期って、そのような傾向がありますよね。私も、ガラケーからスマートフォンに変わったとき、iPhone1か2を買ったのですが、2ヶ月くらいでガラケーに戻したんです。

柏木:全然ついてけてないじゃないですか(笑)

 

永井:結構そういう人って多くて(笑)。なんで着メロ変えられないの?とか、おサイフケータイないの?とか、ブラウザ版のサイトは見られるけどiPhone対応のサイトが見られない、とか。本質じゃない、小さなところでつまづいてしまうのがもったいないと思います。そのためにも、小さなポスター一枚の面でいいから、LEDビジョンは入れた方が良さそうですよね。

 

柏木:LEDビジョンを始めるにあたっては、情報掲示板として使うのか、アートとして使うのかっていう立ち位置を決めることが重要だと思います。セール情報をひたすら配信するぞ!と決めたら、セール!セール!って書きまくればいいと思うんですよ。

 

奈良:そういう方は、紙を貼ればいいですけどね(笑)

 

柏木:そうですよね(笑)でも、アートやりたいなら、表現する内容が変わってきます。ブランドショップさんとか間違いなく、アートなんですよ。セール情報じゃないと思います。ルイビトンが90%OFFって情報は100%出さないですから。

 

奈良情報関係は、スマホに配信して、急遽、必要だったら、紙ではって、ポスター作ればいいですよね

 

柏木:だから私は、本来、LEDビジョンで配信すべきは、アートだと思うんですよ。

 

奈良:今後、店舗の掲示物は、体感ができて、トキを共有できて、っていうような、アートやコミュニケーションに特化するようなものが展開されていくかもしれないですね。

 

アートが信用を生み、購買意欲をかき立てる

永井:小売業界の事業者は、アートにシフトすべきなのでしょうか?

 

柏木:アートに行くべきだと思います。子供みたいな発想ですけど、ダサい店にはいかないじゃないですか(笑)。昔、画家が絵を描いたりとか、音楽家が音楽を演奏したりしたのがアートの始まりだと思うんですが、デジタル化によって表現の場が増えています。キャンパスがあらゆるところにつけられるようになって。企業はブランドを売りながら、アーティストでいる。例えば、私は独立して3年たちますが世界一のマーケターになりたいという世界観がある。永井さんにもクレストで実現したい世界観ってありますよね?

 

永井:もちろんあります。

 

柏木:それを表現することがアートだと思います。「企業=アーティスト集団」としてアートを発信していく。そんな世界観をもっておくと、店舗はより良くなりそうですね。

柏木:アートが信用をあげるし、信用をあげて、購買意欲を増やすんです。これは間違いないと思います。この目の前にあるMacも、まさにアートじゃないですか。これがごつくてデカくて…だと買っていないと思うんです。開き方であったりとか、細かい部分すごくこだわっていると思うんですよ。それはもうアートだと思うんです。

 

永井:確かに。便利だからApple Watchを使っているわけではなく、かっこいいから使ってるんですね。これから企業はアートに向かっていくのですね。では、最後に小売業界で店舗作りを手がけている方に、メッセージはありますか? 

 

柏木:店舗デザイナーさんが表現したい環境を実現する、その一つの手段がLEDビジョンだと思います。私たちは、店舗デザイナーさんやクリエイターが表現しやすいキャンパスを作るのが仕事です。今までだったら、できなかった表現を、できる環境を作れる。店舗デザイナーさんは、見せたいものを見せる、表現したいアートを作れる。私たちに言っていただければ、キャンパスは作りますよと。後は任せた!(笑)というところですね。自由に表現していただきたい。

 

奈良: そうですね。企業やブランドが表現したい世界観を表現するツールって、技術が進歩する中で、そのときの製品ライフサイクルの山において、最善の策のはずだったんですよ。昔でいう、カセットやCDなどと同じで。今ようやく、店舗デザイナーさんが表現したいものに、ツールのキャパシティが近づいてきている印象があります。ですから、本来、表現したかった、企業の未来予想や、なりたい姿というのを諦めないでほしいなと、今回の対談で改めて思いました。小売業のみなさまには、今までのやり方にとらわれないで、もっと表現したいことを自由に発想していただく。私たちは、それを叶えるためにはいまの最善策としてどんなことができるか、あらゆる手段を組み合わせてご提案していく、そんな存在であり続けたいと思います。

 

永井:しかし、今回の対談、「アート」にはまいりました。ぜひ社名をアートコーポレーションに(笑)

 

柏木:あれ、それ聞いたことあるぞ、引っ越し屋でしょう?(笑)

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