RETAIL TECH 2019.07.19
お客様の関心度「視認率」を基準に評価改善 ~売れるディスプレイづくり~
こんにちは。リテールテック事業部です。
今回は弊社が運営するライフスタイルショップ インナチュラルでVMDの効果測定にesasyを活用した事例をご紹介させていただきます。
インナチュラルは首都圏を中心に7店舗展開。植物、雑貨、衣料品を販売しています。
課題:店舗スタッフの感覚に頼ったディスプレイづくり
ディスプレイは、お客様の入店や購買のきっかけとなる重要な役割を持ちます。
しかし、インナチュラルでは当初、ディスプレイ作りはほぼ店舗任せになっていました。
店舗スタッフの経験や感覚によってクオリティにばらつきがあったり、担当者の好みに偏ったディスプレイになってしまっているケースもありました。
そして、どれだけのお客様の目に留まったか? どれだけのお客様の足を止めることができたか? 売上にどれだけ影響を与えたか? ディスプレイの評価は感覚的で明確にされていませんでした。
ディスプレイの評価を可視化
計測分母となる「店舗前通行量」と、店頭VP(*)を中心にディスプレイの「視認数」を計測。店舗前を通行している人のうちどれだけの人に見られたか「視認率」を算出しました。
ディスプレイごとにどれだけのお客様が、どれだけの時間見たかをデータ取得し、お客様のディスプレイへの興味・関心度を可視化することが可能になりました。
*VPとは、Visual Presentation(ビジュアル・プレゼンテーション)」の略称。その店舗・ブランドの特徴やコンセプト、シーズンテーマを表現するディスプレイのこと。VPはショーウィンドウやファサード(入口・店舗前面)を使用して大きく展開する場合が多い。
また、POSの購買データをダッシュボードに統合し、ディスプレイの「視認数」と「売上」の相関を商品カテゴリごとに把握することが可能に。
さらに、ディスプレイを変更した際のスケジュールカレンダーをダッシュボードに統合。
ディスプレイの評価を簡単に可視化することができます。
インナチュラルでは当初、ディスプレイ作りはほぼ店舗任せになっていましたが、現在は週1回、本部の衣料MD担当者、植物MD担当者より全店舗へVMD発信を行っています。
VMD発信は、店舗のディスプレイについて写真と指針をまとめた指示書を全店舗へ社内チャットで発信しています。
各店舗の担当者が指示書に沿って売場を作り、作った売場の写真を本部の衣料MD担当者、植物MD担当者へ送るようにしています。
衣料MD担当者、植物MD担当者は店舗から送られてきた写真をチェックし、必要に応じて修正・変更の連絡を行っています。
週1回変更されるVMDの評価については、翌週の営業戦略ミーティングで振り返りを行っています。
商品部門ごとの売上状況や、展開した商品がどれだけ売れたかだけでなく、商品カテゴリごとにディスプレイの「視認数」と「売上」の相関関係、ディスプレイの「視認率」(視認数÷店舗前通行量)、「入店率」(入店数÷店舗前通行量)もあわせて確認します。
ディスプレイがお客様の興味・関心をどれだけ引くことができたか(足止め率)、どれだけ入店につなげることができたか、どれだけ売上につなげることができたか、VMDの評価をより詳細に行うことができます。
ディスプレイを評価し改善するPDCAサイクルを構築
店舗と本部でダッシュボードを共有したことで、POSデータ以外の共通の指標が新たに生まれました。
改善のための話し合いも指標を基に、より具体的にできるようになりました。
また、効果測定を行うことで店舗スタッフのモチベーションも上がり、意識改革にもつながりました。
ディスプレイに対する関心度とも言える「視認率」を基準にディスプレイを改善したことで、売上が前年比20%アップした店舗もあります。
店舗の基準値がわかったことで、店舗スタッフの感覚だけに頼らず、計測結果を基にディスプレイを評価し改善するPDCAサイクルを構築することができました。
さいごに
これまで、購買データ以外の店舗の状況にについては店舗のスタッフの感覚に頼るしかありませんでしたが、esasyで計測することで定量的に把握することができます。
定量的なデータに基づいて店舗や施策を評価し、改善するPDCAサイクルを回すことで、より効果的な店舗運営改善につなげることができます。
店舗運営に携わる皆様のお役に立てれば幸いです。