RETAIL TECH 2019.06.12

交通量検知の色々な使い方

先日は「顔検知」(視認数計測)のご説明をさせていただきました。

今回は「交通量検知」(交通量計測)のご紹介となります。
交通量検知モードのほうが個人的には色々できて好きですw

『マニアックすぎる…』と多少の引きは覚悟のうえで、この記事を書くことにします。

「交通量検知って?」

このへんもご商談の際、よく聞かれることなので。ここで文章化して今後は楽したいなと思っております。

交通量検知は簡単に言えば「動体検知」と呼ばれ、画面内に映った対象物が動いた時にプログラムが実行され自動的になんらかの挙動を起こす機能のことです。

昨今はIPカメラ(見守りカメラなど)で、特定条件の時だけ写真が取られて自動でメールが送られる。といった感じです。
動体検知モードはこの機能を使い「画角に何か動くものが入ってきた場合」検知プログラムが起動するようになっています。その対象物が画角から消えるまで追尾、ログを撮り続けます。

お店の前やお店の入り口、店内の任意の画角を計測することで「店舗前」の交通量であったり、「入店数」であったり「特定エリア」の交通量を知ることができるわけです。

「入店計測」の方法

簡単に言ってしまえば「入店カウンター」と同じです。特定の検知エリアにカメラを向け、その画角内を動く対象物のカウントを行います。その方法が赤外線なのか、カメラによる画像解析なのかの違いです。

主には店舗入り口上部にカメラを設置し、俯瞰ぎみに画像を取得することで入り口を通る度にログが取得されます。


esasyがユニークな点は、取得データには「どのへんで取得されたデータなのか」を判断するめにX座標、Y座標の情報も一緒に取得されます。画面上で見て右側なのか左側なのか。
それをもとに「画角を切る」ことで任意のデータを除外することができます。それはesasy 本体側の設定には影響なく、データを参照する際(取得する際)にプログラムで除外する方法を選択できるのであとからゆっくり検討することができます。

画角を分割してデータを使い分ける

「画角を切る」方法が縦横、上下反転の影響はありません。設置位置のアングル次第となるため選択できる方法が多岐にわたります。

上図のように画面を分割し「目的」を分けて考えることもできます。

出入り口が小さい場合は、引き目に画角を切り。画面の1/4を「入退店データ」とし。
画面した半分は、該当エリアの主動線のため「エリア交通量」として分けて扱えます。
こうすることで設置台数を軽減する、という選択も可能となります。

店内主要導線の見つけ方

かなりマニアックな使い方になりますが、店内エリア内の交通量を計測する際、主要導線を見つける方法となります。

とあるカメラの検知結果データを画面を縦横10分割すると(X=横、縦=Y)上図のようになります。

左図を見るとX4、X5の軸が大きく検知数が跳ねています。
こちらはグラフ下のプレビュー画像と見比べていただければ、お分かりいただけますが壁側ハンガーに沿って通路があります。ここが主動線として設計されていますので、もちろんここに人通りが集中します。(X7~X9はそもそも人が出入りできない位置関係のためデータはありません)

同時に、Y軸(右図)を見ると、満遍なくデータが配分されていることがわかります。
画面上Y0は入り口付近のため、他に比べると少し多めに検知されています。
これがもし「奥まで誘導できていない場合」顕著な結果としてY0~Y9の間にデータとして現れてきます。

計測可能距離

「何メートルまで計測できるの?」これもよく聞かれるお話なのですが。

設置位置とカメラの選択によって、回答は変わりますが
最短で0.5m ~ 最大40m。
一般的な設置条件の場合は、1m~7m程度となります。

1~7mとしているのは商業施設内の通路がその程度になっているためです。
歩道についても、表参道や、渋谷、新宿エリアの歩道幅は5m前後かと思います。

その場合設置条件として、アングルをなるべく上目から確保する。
だいたい地上から2.5m~3m程度を想定しています。
ビル2階から外を見れる窓の位置を考えると、だいたい4m程度かと思いますが、その高さでも問題ありません(角度により手前側がケラれることはありますが)
カメラ位置が上にいけばいくほど、見晴らしが良くなりますので。検知できる範囲が広がります。ただし、対象物(人間)との距離が比例して遠くなります。
そこで「カメラの選択」が必要になってくるわけです。

【BUFFALO 画角120度】


【BUFFALO 90度程度】


【ELECOM 80度】

上記3画像はすべて同じ位置から撮った画像です。
カメラの選択によって画角が変わることがご理解ただけると思います。

120度の広角の場合は広くは取れますが対象物(炭酸水のボトル)までの距離までが遠くなります。
これが人だった場合、小さすぎては判別できません。

ELECOM 80度の場合は少し望遠ぎみのカメラのため、対象物に寄った画像が取れます。
これであれば、対象物(炭酸水のボトル)は判別つきますが「得られる画角が狭く」なります。

これを設置位置、目的に応じて最適なカメラを選択する必要が出てきます。

広角で全部取ればいいんじゃないの?と思われるかもしませんが、対象物の画像が識別できないレベルではさすがに意味がありません。(肉眼で見れないものはカメラでも見れませんので。。。)

カメラ選択の定石

なんかめんどくさい話になってきたなーと、思った方もいらっしゃると思いますが。
これらをゼロから考える必要はなく、おおよそ目的と設置位置によってパターンは決まってきます。

たとえば屋外の施設で、路上の交通量をとる場合は、設置する高さの選択により120度か80度の望遠気味にするかがだいたい決まりますし、商業施設、店内をとるのであれば120度広角の一択です。

現在利用可能なカメラは20種にも及びます。基本的にUSBによる接続が可能なものは利用できます。カメラ自体の性能はあまり関係ありません。

※MSやLogicoolなどの¥12,000-前後のカメラは非常に高性能ですが、カメラ自体がフォーカシング、プログラミングAEによる自動露出を行ってしまうため、実はこういった計測には向いていません。カメラ自体が露出補正、ピント合わせをしている間に対象が画角をずれてしまうため計測ロストが多発します。

交通量をとる意味

交通量というものを取る理由は交通量は全ての分母となる数字だからです。
下図はとある店舗の5月度店舗前交通量データになります。

濃い線が今年、薄い線が昨年となります。

5月はGWもあるため小売業にとっては重要な時期です。
その時期の店舗前が賑わっていたのかそうでないのか、去年と比べてどうだったのか。。。
これは第一に把握しなければいけない指標だと思います。

売上が昨年に比べてどうだったのかを評価する前に、店舗の性能がどうだったのかを評価しなければ売上の結果に対する評価が大きく変わってきます。
店舗(商業施設)の性能評価のためには、交通量の定点計測はする必要があると考えます。

視認数、視認率、入店率、購買率はすべて交通量データの上にのる評価指標になると思いますので「まずは交通量をしっかり抑える」必要がある。と強くご案内するしだいです。

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