RETAIL TECH 2019.05.09

esasyについて語ってみる

System Division 兼  Retail Tech Division Director になりました。Naoyaです。

もう多くの方がご存知かと思いますが、自分のアダ名からesasyは命名されております。
と、いつもご説明していますが。製品自体はいたって真面目に作っております。
今日はそのへんをしっかり語ろうかなと思い筆を取った次第です。

esasyを開発したきっかけとその理由

きっかけと言えば弊社社長の永井との出会いがすべてになりますが。クレストがなぜIoT(ICT)事業に対し視野を向けたのかという話ともオーバーラップしてきます。

入社前までは個人としても「ウィンドウショッピング」は好きでしたし、店内装飾を見て楽しむ側でした。ただ、それを実際に「納品する側」と些細な縁で知り合い、興味本位で「裏側」をのぞき見できればいいや。程度の動機だったのですが。

屋外広告もWEBのように効果測定できればいいのに

店内装飾変更や、看板変更はもちろん店舗が閉店してからの作業開始です。
夜に作業して、朝にはきれいにお客様をお迎えする。当たり前の事かもしれませんが、その時改めてそういう仕事をしている人たちが要る事に気づきました。
『がんばったら、誰かに褒めてほしい』これは仕事をするうえでシンプルだけど一番大事な動機付けだと思っています。

「その人たちの仕事は誰が褒めてあげるんだろう?」

クライアント?同業人?仲間?

たまには子供を連れてきて「俺がやったんだぞー」とか自慢でもするのかなぁ。。。とか考えましたが、街を彩っている沢山のウィンドウ、広告、店内の装飾、マネキンのコーディネート。裏側にはそういったドラマがいろいろあるのかなぁ。と思ってみたり。

永井からの相談は「そんな広告をWEBのように定量的に評価する仕組みを作りたい」でした。

なりたい「職業」にしたい

永井との会話で共感したのが、広告代理店といったらみんな入社希望すると思います。でも「看板屋さん」といったらあまりポジティブな反応にはなりません。これはその業種がどうこうでなく、知名度の問題だという話をしました。でも「サイン&ディスプレイ」の仕事は奥が深くこれほどクリエイティブな仕事はないと知りました。また同時にアナログが当たり前で、デジタル化することに対しある種のコンプレックスにも似た「諦め」感が非常に強い業界とも教えてもらいました。

当時自分は、WEB系エンジニアでWEBマーケを経由しマーケティングオートメーションをかじった人間でした。情報共有はPC/スマホでメールではなく、Slackやチャットが当たり前。オンラインストレージ、社内ポータルを活用した集中管理による情報管理、地方にても移動中でもオフィスと同じ仕事ができる。それが当たり前の環境にいたため「メール」でさえ一世代前の連絡ツールでした。
「なりたい職業」と言えば、そういうスマートな仕事が上位に来るのは当然のことかと思いますが、「サイン&ディスプレイ」事業も、それにまつわる関係者業界も、そんな風に変えていきたい。永井はそう言って自分を会社に誘ってくれました。

毎日のように夜遅くまで、作業してくれている施工会社の方。小さな傷までチェックしてくれる印刷会社の方。そんな方々の飾った店内装飾、館内装飾、屋外広告、ウィンドウディスプレイ。道行く人がワクワクするお手伝いをする、そんなことが出来ればいいなと思い自分もクレストに入社しました。

永井は『広告というものがどれだけ見られて、どれだけ売り上げに貢献したのか。同時に見た人達の心を豊かにする事ができたのか。自分たちの仕事が、そこにどう繋がっているのか。それをデータ化できれば業界前提を変えるきっかけになるし、WEB関連業種のように、知名度を上げていけば「リアル店舗/広告」も広告媒体として再認識され。サイン&ディスプレイ業界も就職先の選択肢としてもっと知名度を上げることができるはずだ。』と考えています。
結果的には「サイン&ディスプレイ」の若者採用が増え、誇りを持って仕事をする人がもっと増えてくれれば、最終的には業界全体の底上げになるという循環型の考え方です。

定量的な計測をもって店舗を評価する

昨今、購買行動に対してデジタル要素は不可欠になっています。数年前には「クラウド」と聞いても「オンプレ」が主流だったお堅い業界でさえクラウド化が当たり前です。ECサイトや物流事業も自前のサーバー運用をやめ、クラウド/SaaSの利用が当たり前になってきています。

カスタマーをセグメント(属性)ごとに分類し、来訪者に最適な提案をレコメンドして。ユーザーのイベント(行動)をトリガーに、1to1の広告を行う。
数年前に想像はできても、実現するのは難しかった事が容易に実現できるようになっています。ECサイトが購買活動の主流になることは間違いないと思います。店舗は「特別な体験」をする場所へと変化し、そこで有益な体験と最適なタイミングのレコメンドによってユーザーの購買活動が実行されるようになった場合、店舗はその存在を評価することが難しくなっています。

これまでは「購買活動」が店舗で終了していたのでそれでよかったと思います。POSで売上の分析をすれば評価できました。が、「見て」「帰ってから」「比較して」「買う」という風に店舗での体験後も加味された上で、購買判断が後ろにずれた時「リアル店舗」の評価はどのように行えばよいのでしょうか?
POSのデータだけでは評価できません、「感覚論」で評価しても説得力がありません。

数年前まで「できっこない」と思っていたことがたった3~4年で実現されています。その時に「リアル店舗」はどうやって貢献度を評価するのか、今弊社がesasyで取り組んでいる部分は、その評価軸を【作り上げる】事だと考えています。

ECが購買の全てになることはありません。キャッシュレス化や自動化、無人化が進めば進むほど「人がサービスを提供する店舗は、より特別な体験をする場所」へと昇華されなければいけないはずです。

部品としてのesasy

esasyの目指しているところは「ユーティリティ(部品)」であって、「ソリューション(統合システム)」ではありません。

たとえるなら『ネジ』だと思っています。
そのネジは小さいかもしれませんが、その小さなネジが大きな橋を支える事もあります。大型の船舶や自動車を動かしていることもあります。どう使うかは「使う人の知恵」次第です。「どう使えばいいのか」を考えられる人には柔軟性のある最適なツールです。

どうすれば店舗に集客できるのか、どうすればVMDの効果を測れるのか、どうすれば店舗の売上を上げることができるのか。どうすればお客様に喜んでいただけるのか。どうすれば仕事に役立つのか。

逆に言えば「何が今足りないのか?」に目端が利く人という事でもあります。

esasyはこれらの課題解決を支援する「部品のひとつ」でしかありません。考えることができない人には向いていないともいえます。何もしなければ、今日も明日もその課題に対する答えが導き出されることはありません。esasyだけでゼロ(0)がイチ(1)になることはありません。が、ゼロではありません。0.2かもしれないし0.6かもしれません。不十分かもしれませんが、何もしないでいるよりはるかに大きな価値が生み出せます。

まだまだesasyのデータを店舗で活用いただくには、いろいろな工夫が必要です。人の助けも必要です。人のアイデアが必要です。ただ、少しずつですが結果は生み出されています。今まで見えていなかった「指標」を収集し、表現する方法が出来てきています。

基礎データの収集

先日はひょんなことから、新たな課題が生まれ。たまたまついていたesasyの過去データを再利用し、知ることが出来なかった事を知ることができました。設置した時は誰も考えもしなかった事ですし、必要とも考えていなかった事です。
たまたまそこに「部品があった」から実現できた「課題解決(ソリューション)」です。

こういう話はたくさんあります。ひとつひとつが大きなナレッジです。
そのためにも日々データを収集し続ける必要があります。基礎データを持っていれば、それを活用し次に生かすことができます。esasyはそういう回りくどいモノだという事を知っていただきたいとも思っています。もし「導入したらすぐ売上や利益が向上してくれる魔法のツール」が必要なのであれば、弊社製品では役不足です。

esasyが目指すもの

ここまでかなり回りくどく書いてきましたが、最後は「お店に携わるすべての人の為のツール」である。ということをお伝えしたいのです。

・店舗を設計するひと
・出店を計画するひと
・プロモーションを提案するひと
・店舗を運営するひと
・店舗スタッフ、営業
・VMDを担当するMD
・店舗販促物を手配するひと、されるひと
・店内装飾を担当するひと
・デジタルサイネージのコンテンツを作るひと
・雑誌、媒体に掲載する人、されるひと
・店舗を経営するひと

そしてこれから、店舗に関わる仕事をするすべての人。店舗に訪れるすべての人。

その人たちに必要な情報を収集し、提供する。それがesasyの役割であり、弊社がIoT/ICTを駆使した事業を推進しているすべての理由となります。

個人的には、弊社リテールテック事業部はもっとアカデミックになってもいいと思っています。ブランドや店舗運営、装飾に携わっていた人が、一度弊社を経験し、再度ブランド側・運営側・装飾側へ帰っていく。これは理想的な人材サイクルだと思っています。
そうして仲間を増やし続ける事、それがesasyCamera/Beaconを行っている事業の目的ともなります。クレストが目指す「esasy-Platform-Public-Structure」はその先にあるものだと考えます。
そのためesasyはご同業の方でもご利用について制限はありません。広告代理店の方にも再販可能なように設計してあります。

ここまで一気に書き出してみましたが、開発当初の4年前より何も変わらず、何も変えずに今日までesasyをお客様に提供できていることを感謝したいと思います。

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