RETAIL TECH 2019.05.29
esasyを使ったVPの視認数計測の仕方
「具体的にはどうやってVPの視認数・視認率って計測するの?」
お客様や代理店様によく聞かれるので、こちらの記事で説明して今後は楽をしていきたいと思います。
esasyの設置位置
esasyは施工の際、カメラの種類・電源位置によって設置方法は変わりますが、簡単にはガラス面、壁面に固定し「交通量」を計測します。
天井に配線ダクトがあれば、配線ダクトからコンセントをとる方法が選択できます。
VP視認数検知の際は一番シンプルな例で言うと、テーブルや什器類の中にカメラ部を配置します。
【交通量検知+視認数検知 設置位置図面(俯瞰図)】
上図は俯瞰図になります。
図の右側が店舗の外、入口を入るとVP(ファーストテーブル)が配置してある。というイメージです。
横から見た場合の図面が、下図のようになります。
実際に配置してみた写真がこちら。
【店舗前交通量検知】
【視認数検知】
VPの計測について
さて今回はVPの視認数(顔検知)機能についての説明なので交通量検知は別の記事でご紹介します。
顔検知はざっくり言うと「顔っぽいもの」を画像処理で検出しています。
顔っぽいものの定義は、伏せさせていただきますが。極論、クマのぬいぐるみでも検出します。
店舗やショッピングセンターにクマの着ぐるみを着てお客様が来店しない前提でesasyは設計されています。
そのためアングルやライティングの関係で誤検知はあり得ます。が誤検知というのは一定のパターンが発生するので、そのパターンさえつかめばデータ側で除外することが可能です。(クレンジングと言います)
除外パターンが見つかれば、過去データもその対象となるため「あとからやる」対応で十分可能なのが、クレンジングの楽なところです。
もし検出不具合を見つけて、カメラ側で対応して「明日の分からは大丈夫です」と言われたのでは「じゃー、今までのデータは?」となってしまいます。
【画像検出例(画像保存サンプル)】
こちらは弊社オフィスに設置したテスト機のサンプル画像です。(通常時は画像保存そのものをしていません)
下にある3つの画像をご覧いただくと、enter~gaze~leaveとありますが。「開始~途中~終了」と思っていただいてかまいません。
画像を保存しなくても上記の処理が、esasy端末内で行われているわけです。
ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)
ノンバーバルコミュニケーションの中で有名な法則として「メラビニアンの法則」というのがありますが。人間というのは対象物の情報を得るとき「言語7%、聴覚38%、視覚55%」の割合で識別すると言われています。
VMDはまさにその55%の割合を握っているわけです。
そのうえでお客様にVPを見ていただき好感を得られたのか?を識別するためにもうひとつの情報があります、「足(つま先)の向き」が重要です。
人間は人や対象物に好意を持った時、つま先を向け。顔を正対します。
より好意を持っている場合は顔の距離が近づきます。好意を持っていない場合、その動作は逆になります。
つまりVPの効果測定として「身体をVPに向け顔を正対してくれているかどうか」が重要な要素となってくるわけです。
esasyはその「好意」を数値化するために「顔の向き」を検知し、「正対してくれた時だけ」ログを取っています。
厳密には1秒以上正対した時、データが残るようになっています。
スマホを見て、チラ見しただけ。通り過ぎざまにたまたま顔が向いただけというデータは除外されます。
顔検知されたデータの中には、さらにDiameter という値とDuration という値を持っています。
●Diameter
検知した対象物の大きさ。
対象物を検知した際の「緑色の円」が、画像に占める割合。
そのため、検知対象物が大きく映ると、数値も大きくなる。
●Duration
検知した対象物が映り込んでいた時間(単位:秒)。
カメラのモードによって、下記のとおり値の解釈が異なる。
・交通量検知モード:移動時間や滞在時間
・顔検知モード/年齢性別推定モード:視認時間
「見た人」が「どういう風に見たのか」をより深堀することができ、たとえば「5秒以上見た人」をマスクして抽出することも可能になります。
視認数のカウント
上記条件で取得されたデータは1行ずつのテキストデータになります。
あとはExcelの関数などを使ってCOUNTすれば、「見られた回数」を得ることができます。
Datetimeを使って日付単位で集計すれば「日次集計」になりますし、「日付+時間」にすれば「時系列」のCOUNT推移が取得できます。
こちらのグラフは「アパレルVP視認数」と「植物VP視認数」を同時に比較しながら、店舗前交通量の増減推移との相関関係を表現しています。
お店の前の人通りが増えたら、見てくれる人も増える。
当たり前のことがですが、上記グラフでそれがお分かりいただけると思います。
視認率の算出方法と使い道
視認率についてはごく簡単な算出式になります。
「VPを見た人 ÷ VPの前を通った人 = VP視認率」
視認率を評価する理由としては「複数店舗のVPを評価する」となった場合、A店舗は集客力がある、B店は立地が不利で人通りも少ない。
この2つのVP評価をする場合、ただのカウントで比較したらどうなるでしょうか?
「結局B店は元が少ないから見られてる数が少ないんだ」になってしまいます。
「分母に比例した一定の効果」を評価するためには、割合でみる必要性があります。
それが「足止め率」や「関心度」として、評価される「視認率」という指標になります。
視認率は店舗間比較をするときにも使えますが、「集客プロモーション」の評価にも併用できる指標です。チラシ、雑誌掲載、CM、SNSのプロモーションを打った時、その反応は入店数にも反映されますが、VPとリンクしたプロモーションビジュアルであればその反応も気になるところです。
やはり「効果のあったプロモーション」を端的に評価するためにも、視認率を上手に使うことをお勧めします。
視認数と視認率をより効果的に使うために
ここまではあまり実務よりのご紹介はしていませんでしたが。
開発者としては、このVP視認数・視認率のデータはお店を運営する方、VMDを担当する方に気にしていただきたい指標だと思っています。
この数字が「乱高下」したとき「何故だろう」という疑問を投げかけてくれます。
視認率の乱高下と合わせて、売り上げも変動すると分かった場合は売り上げに貢献しているというモチベーションになると思います。
店頭のVPは毎日のように変更されます。今回のビジュアルは良かったのか。デザインは良かったのか。位置は?ターゲットは?売上は?いろいろな事が気になるはずです。
esasyで取得した視認数・視認率データをもとに、次回はこうしよう。あーしようと試行錯誤していただくのもいいと思います。
そうして蓄積したデザインやナレッジと共にesasyのデータを持って、後輩育成に役立てていただきたいです。
一定の数値目標を持って、別の担当者後輩に指導を行っていただき、徐々に視認率が向上するVMD担当者やデザイナーの育成のお手伝いができれば何よりだと思っています。