
確か「3Dプリンター」というフレーズが巷で話題になったのは2013年ごろでした。
今となっては聞き慣れた言葉であまり新鮮味もないと感じるかも知れませんが、意外と知らないことだらけではないでしょうか。
そこで今回はこの「3Dプリンター」について歴史や技術、未来を感じる関連記事などをまとめてみました。
3Dプリンターとは何か
3Dプリンターはその名の通り、立体的な造形を行うことができる装置のことです。
一般的な家庭用プリンターやコンビニ、職場にあるようなコピー機では、平面的にデータを取り込み平面的な2次元の印刷を行いますが、3Dプリンターでは立体的にデータを取り込み立体的な3次元の造形を行えるのが、一般的なプリンターやコピー機との大きな違いです。
日本ではフィギュアなどの造形が話題にあがることも多かったのですが、一方で「これまで多額の費用がかかる金型や大型装置ナシではできなかったモノの製造を小型の3Dプリンター1つで実現できること」なども3Dプリンターが工業面で注目された理由の一つでした。
現在では医療(皮膚や臓器の造形)、ファッションアイテムやアートなど多方面への応用が実現されています。

押さえておきたい3Dプリンターの仕組み
3Dデータを使う
立体造形にあたり、当然ではありますが使用するデータも平面データではありません。
素材は樹脂
3Dプリンターに用いる素材は熱可塑性樹脂です。この素材をどのような方法で造形するかによって違いが生まれます。
造形方式は5種類
対象物、手法、機種によって多少の違いはありますが、コンピュータ上で作った3Dデータを設計図として、その断面形状を付加加工で積層していくことで立体物を形成する方式が基本になります。
造成にはさまざまな種類があるのですが、3Dプリンターで一番よく使われているのは「熱溶解積層法」を用いたもの、次に「光造形法」を用いたものです。
ほかにも「粉末焼結積層造形法」や「シート積層法」「インクジェット法」といったものも存在します。
「熱溶解積層法(FDM法)」
熱可塑性の固形樹脂を高温で溶かして積層させることで立体形状を作成する造形法。
参考動画:https://youtu.be/2CdfiZh1_vs
液体樹脂に紫外線を照射することで少しずつ硬化させていく造形法。
参考動画:https://youtu.be/zn7YllmlPNQ
3Dプリントの用途
3Dプリンターが実際にどのようなプロダクトを生んでいるのか、について触れておきます。前提として、3Dプリンターのメリットは主に
「オーダーメイド(1点もの)への柔軟な対応が可能になる」
「型の製作ができなかったような複雑な構造を形成し得る」
「生産効率化、生産コストの削減が可能になる」
などが挙げられます。
これらを踏まえ、3Dプリンターの面白いプロダクトを簡単にご紹介します。
フィギュア
アニメキャラクターなどはもちろん、とんでもなくリアルなアニマルフィギュアの製作にはもってこいの3Dプリンター。
近年では家庭用3Dプリンター(最安で5万程度)でお手軽にフィギュア製作をする、といったことも可能です。
さらに最近は個人の似顔絵ならぬ、自身のミニチュア作成なんかもできてしまうようです。
医療・工業プロダクト
医療では「人口臓器」の製作に役立っています。
アメリカでは近年、3Dプリンターを使って人間の肝臓の小さなレプリカを作り出すことに成功しており、厚さ0.5mm、幅4mmの小さなこのレプリカは人間のそれとほぼ同様の機能を果たすとのことです。
工業面では、複雑な型製作が必要であった自動車部品や航空機用部品などをより精密にスピーディーに製作することを実現しております。また、1点ものという点では「補聴器用イヤホールド」などにも3Dプリンタが利用されています。
ファッション・アート
ファッションやアートの世界でも実は幅広く利用されている3Dプリント。
2015年にはシャネルが「3Dプリンターで出力した素材で服を制作する」という試みをしています。
「服を買いに行くのではなく、誰もが自宅で流行の服をダウンロードして印刷する未来が待っている」という触れこみです。
また、近年注目されているのは靴制作への応用。
応用運動学に基づいて、ソールや本体に特殊な構造を用いた靴が発表されております。
最近ではアンダーアーマーから3Dプリンターを駆使したスニーカーが発表されました。
最後に
ざっくりとご紹介させて頂きました3Dプリンター。
我々のお仕事の中でも何かご提案できることがあればと思い、気持ちばかりではありますが下記にまとめてみました。
1点もので空間を彩る

POP UPスペースやウィンドウディスプレイにちょっとした変化を。
シーズンビジュアルや新商品をアピールするための販促ツールとしては、タペストリーやシートなどを使用することが一般的かと思います。
例えば、ロゴマークを無数に繋げた1枚のタペストリーのようなシートを3Dプリンターで造作し、その全面に商品やシーズンビジュアルを出力して掲出すれば、一味違う展開ができるのではないでしょうか。これらを立体物に出力して掲出する方法です。
もちろん、売り出したい商品の大きな模型をドカンと作ってしまうのも良いと思います。
見たことがないサインをつくる
これはまだ実績のない話なので明言はできないのですが、
実は3Dプリンターに用いる樹脂には「光を透過する樹脂(透明樹脂)」や「金属3Dプリント」というものが存在します。
3Dプリンターの課題である「大量生産に向かない」という点に目をつぶるとして、これらを用いれば、これまでの内照式ロゴサインの常識を覆すようなユニークなサインの制作がよりスピーディーに安価に制作できることになるのでは、と個人的に期待しております。
技術の革新がこれからも、これまでの常識を覆し続けていくことと思います。
お仕事を通じて皆さまとその感動を共有できる機会を多く作れるよう励みます。