RETAIL TECH 2017.08.22

ESASY入れただけで売上あがるんですか?

遊びがお仕事Naoyaです!
最近は毎日ESASYと戯れております!!!

弊社の場合は、インナチュラルという実店舗を8店舗運営しており、そこでESASYをフル活用しPOSデータと連動した店舗運営を行っています。

ESASY入れただけで売上向上!?

いいえ、ESASY入れただけでは売り上げはあがりませーん。

もうずいぶん前の話になりますが、ESASY開発当初は店内の導線や、ディスプレイの視聴数を見ても最初は「ふーんっ(* ̄- ̄)」と思った程度です。が、一か月ただただデータを取って。

  • 店舗前の交通量
  • ディスプレイの視聴数
  • 衣料スペースの交通量と滞在時間
  • 植物スペースの交通量と滞在時間
    ※インナチュラルは衣料・雑貨・植物の3ゾーン
を眺めていました。
何度もESASYの調整やシステム管理のために店舗に足を運んでいるうちに気になる点があり、SVや店舗スタッフと相談しながらちょこちょこお店の見え方を変えていきました。

店舗改善の道のり

 最初は店舗前の交通量を見ていて、上下連動するパターンを見ていました。
(簡単にいえば、土日は増える、平日は減る。月曜日は極端に下がるという話です)

次に気になったのはPOSの売上と、客単価・購買数です。
これはESASYと関係なくPOSデータから取得して評価して比べていました。

その結果「交通量と購買数(売上)」とは連動するものではない。
と思い込んでいました(2016年12月時点)

思い込みがお店を見えなくしていた

これは結果論ではありますが、当時の店舗のレイアウト。ディスプレイは思い込みによって「見つけにくい」店舗になってしまっていたと思っています。

もちろん店舗サインや什器、店内装飾は充分だったと思います。ただ立地、状況による「特異性」に気づいていなかったのです。商業施設特有の回遊性と統一感によって「インナチュラルらしさ」のアピールが「一歩遅い」事に気づきました。

たしかにお店の正面に立てば「インナチュラル」なんですが、駅の方向から歩いてくると・・・・「白い壁のお店」だったんですね、視界の範囲でいえば。

で、お店の正面まできて「あら素敵」と思ってても、歩いている人間はすぐには止まれませんので、そのまま前を通り過ぎて。次のお店を探してしまう。

「あとで寄ろう」と思っても、そこはSCの素晴らしき回遊性。お客様が戻ってくることはまぁありません、次回の来館をお待ちするほかありません。

ESASYによる計測とセンサー位置の調整をしながら、店内から見える範囲でできる限りのデータ集積を行い、いくつかの仮説を立てました。

  1. アイキャッチポイントが想定より遠くにある、またその視野が狭い。
  2. 「逆回り」用のアイキャッチが弱かった
  3. 訴求ポイントを通りすぎてしまうと、次のお店が視界に入ってしまう。
  4. アイキャッチのインパクトが弱い

具体的な話は書きにくいのですが、ESASYのデータを眺めていて上記のような弱点にすぐ気づきました。
これらの情報をSV/MDに共有し、店舗にも協力してもらいながら少しずつお店を変えていたのが12月以前のお話です。

転機となった1月商戦

いくつかの施策が重なった結果だと思っていますが。上記の改善をしながら毎日グラフとにらめっこしていました。正月1Wはは良くも悪くもデータ的にはあまりあてになりません。正月2W以降グラフの重なりが、きれいに揃ってきてくれました。

計測を始めた当初(昨年末~1月ごろのデータ)

この時、初売りセールも落ち着いた1/15のタイミングで新商材を投入できたことで課題の4)を改善することができました。アイキャッチの吸引力があがったことで、課題3)も自動的に改善されます。

12月中に1)については試行錯誤し、VMDの改善をした結果「店舗認知力」が向上したようです。2)の課題も同様に12月中にいくつかレイアウトを改善し、徐々に改善していました。

「店舗前の交通量と購買数は連動していないとお店としておかしい」と考えデータを常にみていました。(SCにテナント出店してる意味ないじゃん)
全員を自店舗に誘導し購入いただくことは不可能だと思いますが、一定のバジェットが提供されているのであれば、一定比率のコンバージョンはあって然るべきだと思っています。

ここで重要なのは「人数」ではなく「パーセント(%)」による推移の連動性の評価だということです。

しばらくは社内メンバー、店舗スタッフと一緒にグラフを見たりしながらディスプレイ変更を重ね、いつしかスタッフ側にディスプレイ視聴数を意識しながらVMDを組むという仕組みが出来上がってきました。

改善開始からの3か月間


1月から3月初頭まで、集中的に仮説検証した結果のグラフになります。
3月以降は、店舗メンバーだけで自走してくれるようになりました。

5月前半は「母の日」という特別なイベントがあるため、除外していますが。
5月~7月までは想定通りの、評価になっていますが。8月に入ってからは夏休みの為か「交通量に対して比例して購買客数が増えていない」という状況が一目でわかります。

現在、店舗の売上が落ちてるというわけではないんですけどね、ただこれが何かの前触れなのか緩やかに衰退しているのか今後の注視事項であることは間違いありません。
インナチュラルのターゲットは40歳以上であるため、夏休み(学生が)増えても関係ないとの見解もあります。

売上=購買数×客単価

最初は「交通量×購買数」に注力していましたが、「売上」も見なければいけないなと思い次はESASYのデータと売上の相関関係のあるデータ探しをしました。

その結果「滞在時間」と「ディスプレイの視聴数」による連動性がうっすら見えてきました。

滞在数よりも滞在時間のほうが「売上」に対する影響はありそう。。。とか、考察してみたり。

ディスプレイの視聴数が多ければ「売上」もあがるんだなぁ。。。とか。
他にも「ディスプレイの客単価設定をあげると、本当に客単価もあがるのか?」「店内入店率があがれば売上はあがるのか?」といった仮説をたて、データを洗い出し分析していろいろな指標をだしてきました。

ここでのご案内は割愛しますがいろいろ面白いデータが見えてきました(*´艸`)

今では、店舗にグラフデータを売上集計と合わせてESASYのデータダッシュボード化しバックヤードで常設表示しています。
毎日見てくれているかはわかりませんがw 少なくとも「本部」と「店舗」が会話をするうえで必要な「共通言語(ツール)」がひとつ増えた効果は出たと思っています。

売上も安定し今ではTOP3の店舗に

改善当初、該当店舗は開店2年目にはいったばかりで、8店舗中でも苦戦している店舗でした。あれこれ皆で試行錯誤して、それこそSV/MDも一緒になって改善に努めた結果でありますが、今では中核としてブランドを支えてくれている存在になっています。

店舗ごとに「店舗前交通量」の比率を見ることもできます。
これだけでも「店舗・立地」の性能評価として十分な成果をだしてはくれています。

流入分母が少ないのに、売上では遜色ない結果を出している店舗もあったりと。
各種状況が良く見えてきます。

もう皆さんお気づきかと思いますが、もう途中からESASYあんまり関係ないですw
ESASYが新しい気付きや、指標を出してくれるわけではないですから。AIと連携してるわけでもないですし、お店を改善させたのはスタッフの知識と努力だけです。

アイキャッチを変えたらどうなるのか?
展示テーブルをあと1m前に出したらどうなるのか?
提案ストーリーはステップがいいのか、アンサーファーストがいいのか?

いくつもあるVMDのナレッジを出し合って、提案して、レビューして。
ただただ、それを繰り返しただけです。

ESASYはその結果が分かりやすくなるよう、お店をスライスしてデータ化したにすぎません(MRIみたいなものです)

だからESASYを入れても売り上げが上がるものではない。
とご案内をしています。全能な銀の弾丸ではありません。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%80%E3%81%AE%E5%BC%BE%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%81%AA%E3%81%84

ただESASYがなければ気づけなかった事が沢山あります。自立し自走するために伴走してあげることは出来なかったと思います。

考える葦を揺らす、風程度の影響しかありません。

ESASY入れただけで売上あがるんですか?

繰り返しますが、あがりませーん。

今回お話しした改善施策を、意気揚々と他店舗に展開したのですが。見事に撃沈しましたw

それは施策が間違っているわけではなく、店舗(地域)ごとの特性があり、ローカライズが必要だからです。まんま右へ左へ適用して上手くいくはずもありません。ただ、それを早々に評価・判断するためには役立っています。

インナチュラルは店舗ごとにある「個性」大事にしているため、統一はしにくくなっています。でも、その手間暇があるから店舗への愛情が生まれるんじゃないかなぁ。。と思ってみたりするわけです。

店舗にきていただくお客様が全てです、そのお客様のことをより深く理解するためのツールとしてESASYは開発されています。

そのお客様をお迎えするのは店舗スタッフです。

ESASYが皆さんのお店の売上を上げる方法を指南したり、皆さんの事業を導くようなことはしてくれません。
ESASYはスタッフを信じてサポートするためのユニット(部品)でしかありません。
ただ、自助努力するためのサポートをすることならできます。

今回はいつもプレゼンの際させていただく「事例」として、自社で運営する店舗の改善施策の一部をご紹介しました。
もちろん、他の店舗でも同時に改善施策を展開中です。あたりもありますし、はずれもあり試行錯誤中です。

ご検討中の皆様の参考になれば幸いです。

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