CEO 2016.08.05

社長Blog Vol2:シンギュラリティに対するクレストの答え

 思えば、自分がテレアポをファーストコンタクトのとするB2Bセールスだった頃は、偉い人から未来の話を聞いても、その場では納得したり感動したりするは良いものの、どうも目先の仕事に忙殺されてしまってその時の感情を実際に業務に活かすことは難しかったということが記憶に新しい。
 また現在の私の立場においても、会社が大きくなるにつれて社長のビジョンは崇高であれば有るほど良いものだろうと思ってしまい、この崇高さと現場レベルのギャップがあることに気付かずに経営をしてたのではないか、と反省することも多い。

 先日、パートナー企業に若くて優秀な人材がいると聞き、早速ハイアリングを行うために社内のゼネラル・マネージャーに会食の機会を設けてもらい、3時間ほど私が自社の事業ドメインの10年、20年先についての私の予測する未来を語った。

消えゆく看板や広告印刷

 シンギュラリティの10年くらい前にサイン&ディスプレイ業界は必ず淘汰される。箱を作って中に蛍光灯やLEDを入れる100年前から変化の無い行灯(あんどん)看板といわれる構造は、現在でもLEDのモニタに日々転換し、いずれは更に低価格帯、設置コストも安価な有機ELに置き換えられる。少なくとも日本のような先進国ではこれまでの看板製造会社はあっという間に淘汰される。
 また、電車に乗っても少なくとも自動扉の上には2つのモニタがあり、数年前から電車広告枠の5%はあのモニタの出現によって淘汰されたと言っても過言ではない。あとは時間の問題である。当然店内の広告やウインドウディスプレイも、モニタに限らず様々なテクノロジーによって、毎回印刷して貼り付けたりぶら下げたりしなければいけないという非効率から抜けだそうと日々様々な人々が思考を凝らしている。

既存のビジネスにあぐらをかき、思考を止めた者は寝ている間に市場から淘汰される。

すべての業界にパラダイムシフトがやってくる

 私の大好きな(表現が難しいが) パラダイムシフトの事例として、富士フィルムとコダックの事例がある。私と一緒に飲んだりしたことのある方々は、2000年でフィルム市場規模が1/10になって、さらにデジタルカメラ市場に参入したら2008年にスマートフォンがデジカメの代替となり市場自体が縮小という無理ゲーを勝ち抜いた富士フィルムがどれだけすごい復活劇を成し遂げたのかと、熱く語る私の姿を見たことがあるかもしれない。
※ 参照:無理ゲーを勝ち抜いて、売上を1.5倍にした富士フイルム
 小売業でも、大手の一部アパレルメーカーは売上高の10%がECでの販売にシフトしている。リアル店舗1店舗あたりの売上は日々減少し、購買がインターネット化している。
私が先日ヨドバシカメラでPCを買おうとしたところ、PCは陳列してあっても持ち帰ることのできるPCはMacとその他格安メーカーのPCのみで、ハイエンドのWindowsはすべて受注生産であり、何とレジではなく陳列してあるPCでその場で決済するという方法に切り替わっていた(まだすべてではないけど)。つまり来店させておきながら、DELLやHPのサイトから買わせるというものである。正直実機を触れたことは良かったが、これならWEBで注文すればよかったと思ったのは言うまでもない。
(ヨドバシカメラへ各PCメーカーは何らかのトラッキングコードを使ってヨドバシに設置されているPCから注文があった場合は一定額をキックバックする仕組みが構築されているか、もしくは売上に関係なく賃料をとっているかのいずれかだろう。)




シンギュラリティを超えた未来はVUCA

  • シンギュラリティの頃には、すべての人間がスマホを持つように、もしかするとGoogle Glassのようなものをかけて街を眺めて、画面上にポケモンGOのように看板が現れているので飲食店のリアルな看板や広告は一切不要になっているかもしれない。
  • 人間は物理的に外出をするのではなく、すべてバーチャルの世界で活動をしているかもしれない。
  • ロジスティクスがより強化され、すべてのものがものの数十分で家まで配送できる配送網が整備され、本当に外出が一切不要になるかもしれな。
 我々サイン&ディスプレイ業界にかぎらず、このような時代が来ると不動産の価値は無くなっているかもしれないし、リアル世界の広告代理業も、すべてのリアル店舗も無くなっているかもしれない。まさにVUCAである。
 私がハイヤリングの時に熱く語っていたのは、上記のようなVUCAの時代、誰も未来なんて予測できないのだけれども、そんな未来をサイン&ディスプレイ業界という切り口から切り開いていける会社で是非働くべきではないか、もしくはそのような未来があることを知りながら、未来を恐れず、過去に執着せずに突き進む経営ができる会社で働いてはどうか、ということである。
 しかしながら今となっては上記のような私の考えと、自らの実務を咀嚼し紐付け付けられるレイヤーはごく一部であり、冒頭で記したように自分もジュニアの頃は社長からそんな崇高なことを言われても自分の理解を明らかに超えてしまうと人は畏怖してしまうこともあると感じている。
そのため、このブログがそのギャップを埋めるものとなる役割を果たす役目になればと思い、長らくお待たせしたが今回のVol2を記載する運びとなった。

 センミツ(千三つ)という言葉をご存知だろうか。
1 《千のうち本当のことは三つしか言わない意》うそつき。
2 《千に三つくらいしか話がまとまらない意》
ビジネスでもたまにこの言葉を使う人がいるが、1000個のうち3個の事業しかうまくいかないよ、という確率論から、それくらい商売は難易度が高いんだぜ、ということストレートに言っている。
 結局のところ富士フィルムはこれまでの技術を活かした化粧品事業がヒットしている。もちろんそれは千三つどころではない膨大なアイデアの中から成功を導き出しているのだろう。この千三つも、確固たる基盤があれば有利になることが多い。富士フィルムでいえば長年のフィルムの開発技術である。ナノテクノロジーの話をしてしまうとまた長くなるので割愛するが、過去の技術を化粧品に活かしたところ、化粧品業界に対するパラダイムシフトを起こす立場になれたわけである。

 クレストも既存のサイン&ディスプレイ業界で言えば、現在累積4000社を超える顧客様との接点がまず財産であろう。4年以内にこの数が2万社を超える予定である。そして全国リアルの店舗に対して遅くとも5時間以内には現場に駆けつけることのできる全国津々浦々の施工ネットワークもまた1つの武器である。ロジスティクス業界も驚くほどの優位性を持っていると言っても過言ではない。

 仮にある日突然看板やディスプレイというものが世界が消え失せても、人々がものを消費することを辞めるわけではない。我々はアイデア次第で十分に生き残ることができるはずである。従業員の目線からすると、どの経営者を信用するかという肌感覚も重要になってくるかもしれない。

すべてのクレストのステークホルダーへ

 我々は今後様々な製品やサービスの開発を行い、リリースを進めます。
Esasyで消費という行動を分析したり、「企業体」よりもさらに小さな「個人」に着目したプラットフォームを作っていくC2Cモデルも幾つか可能性が見えているものもある(サービス名だけは先にHaan(ハーン)に決めたけどえ)。
しかしながら、ベースとなる既存事業の強化があと5年間は最大の注力事業である。
 すべてのステークホルダーの皆様は、是非我々にお力を貸して頂ければ本当に幸いです。
クレストとの取引の開始、クレストへの就職、何らかの形でクレストと関わることが、皆で一緒にこれからやってくるシンギュラリティを紐解く一歩になります。
今後も弊社クレストを信じて頂けたら、私たちにとってこれ以上の幸せはありません。

株式会社クレスト 
代表取締役社長 永井俊輔

2016年8月4日(日本時間20:30)成田→JFK空港への機内にて。
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